2016 Fiscal Year Annual Research Report
Weakly-coupled mode-multiplexedfiber transmission
Project/Area Number |
16H04366
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
五十嵐 浩司 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (80436534)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情報通信工学 / フォトニックネットワーク / 電子デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
複数モードが伝搬可能な数モードファイバ伝送路を用いることで、異なるモードに異なる光信号を多重することが可能となる。ただし、伝送や光デバイスなどの光領域において生じるモード間結合を補償するために、光受信器に信号処理のための巨大規模電子回路が必要となる。 本研究では、光領域におけるモード間結合を制限することで受信器信号処理回路規模が現実的になる弱結合モード多重伝送技術を確立する。モード間結合が制限された①数モード光増幅器と②モード多重分離器、そして③モード間遅延補償技術を実現する。それらを組み合わせ弱結合モード多重伝送実験を行い、伝送性能を明らかにする。初年度にあたる平成28年度では、モード間結合が制限された①光増幅器と②モード多重分離器の1次試作を行った。 ■ 数モード光増幅器の実現 凸型添加分布エルビウム添加ファイバをクラッド励起する光増幅器を実現した。その性能を評価した結果、20dB以上の利得におけるモード依存性を±2dB以下に抑圧した。この性能は伝送実験に十分活用可能な値である。実際に、周波数利用効率の世界レコードとなる947bit/s/Hzを実現したマルチコアモード多重伝送実験に使用した。光増幅器内でのモード間クロストークは十分に抑圧されているが、伝送路ファイバとの接続におけるモード間結合が-10dB程度であり、更なる最適化が必要である。接続におけるモード間結合を抑圧する空間光学系を実現し、現在2次試作を行っている。 ■ モード多重分離器の試作 ファイバカプラ型モード多重分離器を1次試作した。概ね良好な特性が得られているが、縮退モード多重における偏波依存性が新たな課題と判明した。新規プロセスを取り入れた2次試作を行い、±0.5dB以下の偏波依存性を保ちながら、-20dB程度のモード間結合でC帯波長帯域動作が可能なモード多重分離器が実現された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書のスケジュール通り、モード間結合を制限した光増幅器とモード多重分離器を1次試作した。最も重要なパラメータであるモード間結合は-20dB以下のものが得られた。現在、2次試作による更なる高性能化を目指している。光増幅器に関しては、伝送路との接続におけるモード間結合の抑圧といった新たな課題が明らかになったが、その解決法を取り入れた2次試作を行っている。モード多重分離器に関しても、偏波依存性を更に抑圧するために、製造プロセスを見直し、高性能化の目途を立てた。現在、2次試作品が完成し、予想以上の高性能化が実現されている。
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Strategy for Future Research Activity |
■ 数モード光増幅器の実現 現状で問題となっている伝送路ファイバと光増幅器ファイバの接続におけるモード間結合を抑圧するために、入力における空間結合系を最適化する。新規に試作した光増幅器の弱結合モード多重伝送への適用可能性を明らかにする。 ■ モード多重分離器の試作 現在試作中の低クロストーク広帯域動作6モード多重分離器を用いた6モード偏波多重QAM信号のビット誤り率測定を行う。 ■ モード間遅延補償技術 信号の符号速度が低くなるほど、モード間遅延補償に必要な信号処理回路規模が削減される。低符号速度のサブキャリアを周波数多重する技術を用いることで、現実的な回路規模でのモード間遅延補償が実現可能となる。100タップ程度の適応等化器を用いて100km数モードファイバのモード間遅延補償が可能となるサブキャリア符号速度を明らかにする。
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