2016 Fiscal Year Annual Research Report
積分的モデリングに基づくフルスイング非線形制御とその大振幅ロコモーションへの応用
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16H04386
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石川 将人 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20323826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 健也 東京理科大学, 基礎工学部電子応用工学科, 講師 (60419471)
杉本 靖博 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (70402972)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 制御工学 / 非線形制御 / アクチュエータ / ロコモーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,積分的モデリングの理論的基盤を固めるとともに,実際の現象において積分的モデリングの有効性を検証するための基礎的な実証実験を行った.まず理論面については,微分を用いずに一定時間先の状態遷移を記述する離散力学の考えに基づき,弦や膜などの振動現象の解析を行った.また,周期入力のもとでのシステムの大域的な状態遷移をより正確に記述するために,準受動四脚歩行機を題材として高階のホロノミーの影響の解析を行い,これまで説明のできなかった前後脚間隔の不安定現象を説明できることを示した. 一方,大振幅ロコモーションを目指した実験としては,主に転がり移動と脚歩行の実証試験機を開発し基礎実験を行った.特に転がり移動については,これまで行ってきた剛体の転がりだけでなく「変形しつつ転がる」移動形態を発案し,これがやはり周期入力によって駆動できることを示した.また脚歩行については,典型的な大振幅アクチュエータであるMcKibben型空気圧人工筋のモデリングを行うとともに,それを用いた二脚歩行機の足踏み・跳躍などの周期運動の解析を行った.さらに伸縮型の駆動脚を有する三脚歩行機について,各脚を機体中心からみて放射方向に大振幅で伸縮させ,その結果として機体の大振幅の揺動および機体のねじり運動(ヨー軸まわりの運動量)を励起することによっ回転・並進などのロコモーションへとつなげる移動様式を提案した.いずれの移動様式においても機体が「倒れ込む」効果(接地点と重心のオフセットによりピッチ軸回りのモーメントが生じる)効果が顕著であり,これを周期入力によって巧みに引き出すことが重要であるとの知見を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた積分的モデリングの理論面の検討,大振幅ロコモーションの基礎検討,大振幅アクチュエータとしての空気圧人工筋の解析などが順調に実施できている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実施計画のとおり,今後は積分的モデリングの方法論構築とともに,空気圧人工筋をはじめとした大振幅・非線形アクチュエータのモデリングと活用を進める.また,初年度の基礎実験の過程で,当初は空気圧等に比べて扱いが容易なものと考えられていた直流サーボモータ・直流ブラシレスモータなどの性能限界が,移動ロボットのふるまいに影響をあたえるケースが多々見られた.そこで今後は直流モータもフルスイング制御の研究対象に含めることとし,高性能なモータを採用して余裕をもって使うのではなく,低性能かつ非線形なモータの性能限界を陽に考慮した制御方法の開発を考えている.
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