2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04420
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山城 賢 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70336014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上久保 祐志 熊本高等専門学校, 建築社会デザイン工学科, 准教授 (90332105)
横田 雅紀 九州産業大学, 工学部, 講師 (60432861)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 越波 / 風 / 現地観測 / 水理模型実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
越波の水理模型実験では,風速に関する適切な相似則がないため風の影響を定量的に評価できない.本研究は,越波の模型実験における実用的な風速の設定方法を提案することを目的に,1)越波流量空間分布の現地観測,2)現地における越波流量空間分布の定式化,3)水理模型実験による再現,4)模型実験における越波流量空間分布の定式化,5)越波実験における模型風速の設定方法の確立,の5つの実施項目からなる. 平成28年度は主に,1)越波流量空間分布の現地観測および2)現地における越波流量空間分布の定式化を実施し,3)水理模型実験による再現について準備を進めた. 1)越波流量空間分布の現地観測:下関市の日本海側に面した直立護岸を対象に,越波流量の空間分布,風向風速の現地観測を計画し,冬季風浪が発達した期間に観測を実施した.越波流量の空間分布の計測には水位計を設置したポリタンクと転倒升式雨量計を用いた.また,波浪,潮位については公的機関の観測データを収集し,越波の状況は複数のビデオカメラで撮影した. 2)現地における越波流量空間分布の定式化:Fukuda et al.(1974)よる消波護岸を対象にした越波流量空間分布の現地観測結果をもとに,越波流量空間分布は指数関数形で表され,その係数が単位幅当たりの越波流量と風速で決まると考え,越波流量空間分布の定式化を行った.著者らは過去にも同様の検討を行っており,過去に得られた式の問題点を改善することで,より妥当な経験式が得られた. 3)水理模型実験による再現:現地観測を実施した直立護岸を対象に,次年度に現地観測結果の再現実験を行うため,水理模型の作成,および造波継続時間,造波の安定性,計測精度等についての予備実験を行い,次年度の本格的な実験に向けた準備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,現地観測を実施し越波流量空間分布のデータを測得できており,また,越波流量空間分布の定式化についても,妥当な推定式が得られた.さらに,水理模型実験については来年度の本格的な実験の実施に向けて予備実験等を行った.これらの実施内容は当初の計画に沿っており,順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,1)越波流量空間分布の現地観測と2)現地における越波流量空間分布の定式化については前年度から引き続き実施し,3)水理模型実験による再現と4)模型実験における越波流量空間分布の定式化についても本格的に実施する. 1)越波流量空間分布の現地観測および2)現地における越波流量空間分布の定式化:平成29年度についても冬季に現地観測を行い,観測データを蓄積する.最終年度である平成30年度は模型実験および研究成果の取りまとめを行うため,現地観測は平成29年度で終了する.また,蓄積された現地データを検討し,越波流量空間分布の定式化を完了する.さらに,得られた式から,越波流量空間分布に対する風,構造形式,海底地形の影響等について考察する. 3)水理模型実験による再現:水理模型実験は平成29年度から平成30年度前半に重点的に実施する.現地観測を行った護岸を対象に,小型と中型の2つの断面2次元造波風洞水路により模型縮尺が異なる実験を行い,現地の再現だけでなく縮尺効果についても検討する. 4)模型実験における越波流量空間分布の定式化:水理模型実験の結果がある程度揃ってきた段階で,現地観測結果と同様に定式化を行う.新たに得られた実験データは随時追加して検討を進める.
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