2016 Fiscal Year Annual Research Report
安心安全運航のための水上飛行機離発着場整備に関する研究
Project/Area Number |
16H04432
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
轟 朝幸 日本大学, 理工学部, 教授 (60262036)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 水上飛行機 / 水上飛行場 / 空港工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,わが国においても普及しはじめた水上飛行機の離発着場に関する運用方法の開発を行うことを目的としている.具体的には,海外での水上飛行場の実態(船舶などとの共用方法),国内の水面の利用実態と水上飛行機の離着水可能性,さらに水上飛行機の離発着運航を支援するシステム機器の開発(設計と試作),水上機離発着運用ルールについての検討を行い,安心安全に水上機が船舶等と共存して水域を利用できる環境整備に寄与することを目的として,研究を進めている. 平成28年度は,カナダのバンクーバー,ヴィクトリア,ウィスラーの水上飛行場の事例を実施した.ヴィクトリアで定められている狭域の水面を船舶利用者などと協働で使う運用ルールを策定した背景と運用実態などの詳細情報を得ることができた.また,バンクーバーやビクトリアなどのトラフィックが多い水上空港では,管制塔からの航空管制や運航情報提供を行い,それらの無線はその海域を通行する船舶もモニターして,情報を共有していることがわかった.新たに日本に整備された尾道の水上飛行場についても,現地調査を実施した.日本では関連する知見が不足しており,展開上の課題が多々あることがわかった.また,水上飛行機の離発着運航を支援するシステム機器の開発のための基礎調査として,前述の海外調査のインタビュー調査などで得た先進事例を整理し,さらに文献調査から海上や航空機からセンサーにより気象や海況データを取得する装置などの先端技術の動向を整理し,あわせて水上飛行機が欲している情報を洗い出した. なお,本研究課題は,日本大学理工学部教授・青木義男,同教授・小林直明,同教授・居駒知樹,同専任講師・大竹智久,同助教・江守央,同兵頭知,東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系助教・川﨑智也を連携研究者として進めている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究である挑戦的萌芽研究課題(平成27~28年度)と併せて,水上機離発着の運用に関して,バンクーバー,ヴィクトリア,ウィスラーなど海外の先進事例の調査・分析を実施してきた.水域設定の実態,船舶などと共用で水面を使用する運用ルールがあることなどを明らかにできた.また,水上機運航を支援するシステムの開発を見据えて,システムへの機能ニーズ,関連技術動向などを整理してきた.これらは,当初予定どおりに成果をあげていると考えている. 一方,船舶など水面利用の実態調査は,効果的な調査方法の検討に手間取り,実査は未着手であった.それに代わり,システム開発の要素研究として,波浪状況をGPSを用いて計測した場合の精度について基礎実験を実施し,概ね期待する精度が得られることがわかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
海外等の先進事例調査は引き続き実施する.また,国内で運航を始めた瀬戸内についても運航上での課題や船舶との調整の実態について調査を行う. 水上飛行機の離発着運航を支援するシステム機器の開発は,昨年度の基本スペック調査の結果を受け,基本設計を行う.その際,専門業者への外部委託により,実をあげることを検討している. 昨年度に未着手だった船舶など水面利用の実態調査については,今後も検討を続け,実査する予定である,ただし,効果的な調査方法が見あたらない場合は,先進事例などの文献調査で代替えすることも検討する.
|
Research Products
(3 results)