2016 Fiscal Year Annual Research Report
Anaerobic digestion of partially oxidised soluble lignin
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16H04439
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
安井 英斉 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70515329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門上 希和夫 北九州市立大学, 環境技術研究所, 教授 (60433398)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 溶解性リグニン / 資源化 / 燃料 / メタン発酵 / 前処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
水蒸気爆砕法によってサトウキビバガスから抽出した排水を原料とし、メタン発酵の長期回分培養実験をおこなった。水蒸気爆砕排水は約25,000 mgCOD/Lの有機物が含まれ、そのおよそ50%は非生物分解性であった。当該廃液には約9,000 mg-COD/Lのリグニンが存在していた。一方の生物分解性有機物の多くは低級脂肪酸やフルフラール類であり、メタンに転換しやすい成分であった。これらの生物分解性有機物を嫌気バイオフィルムリアクタによって除去した後、50-150 mg/Lの次亜塩素酸ソーダを添加し、非生物分解性有機物のメタン転換を測定した。次亜塩素酸ソーダの添加後にメタンの急激な生成が観察され、約150日の培養で初期CODの16%がメタンに転換された。 これらのメタン転換は当初の予想よりも低かったことから、生物処理に替わる物理化学処理の検討を平行して実施した。具体的には、水蒸気爆砕排水を膜蒸留法によって高濃度に濃縮し、その濃縮排水を燃料とするものである。含有のCOD成分が有する熱量によって濃縮排水の水分がちょうど蒸発する限界条件でも濃縮排水の粘度は極めて低く、一般的な膜蒸留法によって容易に水蒸気爆砕排水のリグニンを燃料化できると考えられた。一方の蒸留凝縮水には揮発性の物質が移行しており、各種の低級脂肪酸やフルフラール類が高濃度で含まれていた。これらを嫌気バイオフィルムリアクタによってメタンに分解ことを確かめるために、市販のフルフラールを用いた合成排水の連続処理実験を進めた。高負荷の条件では生物処理水にかなりの溶解性TOC成分が検出されたのでイオンクロマトで成分分析をおこなったところ、これは酢酸とわずかに異なる未知の成分であった。現在、その同定のためにGC-MSを用いた検出を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で設定していた酸化剤による改質プロセスよりも、膜蒸留と生物処理を組み合わせたプロセスの方が容易に難分解性成分を燃料資源に転換できることを見いだした。この処理においては、膜蒸留で凝縮水側に移行する揮発性有機物の生物処理が全体効率を左右すると考えられるため、この点に着目した検討をおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
サトウキビがバガス水蒸気爆砕排水に含まれるフルフラール類は、嫌気性微生物によって酢酸を中間産物としてメタンに分解すると今まで考えられていた。しかしながら、イオンクロマト分析によれば、本中間産物は酢酸と類似しているものの、異なる物質のようであった。従って、今後はこの成分の同定にも注力し、高速で生物処理が可能なリアクタの設計条件を検討していく。
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Research Products
(3 results)