2017 Fiscal Year Annual Research Report
地震力を受ける鉄筋コンクリート靭性骨組架構の限界変形点の定量化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16H04446
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩原 等 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50272365)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尻 清太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10466013)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | コンクリート構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
梁曲げ降伏型の鉄筋コンクリート造ラーメン架構は,梁端の安定した履歴エネルギー吸収により,設計地震力を超える大地震に対する倒壊余裕度を有する優れ た構造形式である。しかし,建物全体の倒壊余裕度を定量化するには、曲げ降伏する梁の損傷の進展に対応した変形限界点や大変形領域での耐力低下に関する情 報が必要であるが、それらに関する系統的な実験は少ない。そこで今年度は、昨年度実施したパイロット実験3体の実験に引き続いて、16体の曲げ降伏する片持ち梁を作製し、主筋量、コンクリート強度、シアスパン比、横補強筋量を実験変数とし、これらを系統的に組み合わせ、耐力低下を確認するまで載荷する静的漸増 振幅正負繰り返し載実験を行って,限界変形点や耐力低下点に及ぼす影響を調べる基礎的な実験を実施した。今回の実験の範囲においては,横補強筋量は終局限 界部材角をわずかに増大させる影響は見られたが,せん断スパン比,横補強筋降伏強度,コンクリート強度は、いずれも耐力低下時の限界変形に及ぼす影響がな かった。実験で得られた終局限界部材角は、耐震診断基準による評価は,実験結果を安全側に包含していたが,靭性保証型指針による評価値は,ほとんどが実験 値を上回った。ACI369で示された方法により,各限界点と4折れ線で表される復元力特性を求め,実験結果と比較したところ、終局限界部材角も含めて比較的実験 結果と良い対応が得られた。また、今年度は、終局限界部材角を推定するための耐力低下のメカニズムの定量的解明とモデルの開発にむけて、試験体の写真のイ メージから大変形時の局所的変形の分布と大きさを数値化することを試み、精度よく変形場が計測可能であることを確かめ、12体の実験に適用して、局所的な変 形データのデータベースが得られた。次年度に終局限界部材角の推定モデルの開発に取り組むための準備を整えることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験が予定通り進み、期待した成果が得られているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であり、残りの予算で梁の追加実験と柱梁接合部の部分架構の実験を実施し、部材の終局変形限界と架構の限界変形の関係につい ての実験を行い、架構の倒壊余裕度と部材の終局限界変形の関係を明らかにする基礎データの収集を行うこととしている。
|