2018 Fiscal Year Annual Research Report
様々な制振・免震構造の統一的評価法による応答制御性能の把握と改善
Project/Area Number |
16H04447
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
笠井 和彦 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任教授 (10293060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 大樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40447561)
松田 和浩 名城大学, 理工学部, 准教授 (80567397)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 制振構造 / 免震構造 / 設計法 |
Outline of Annual Research Achievements |
制振、免震それぞれの多様化、免震構造に似て最下層を変形させる制振構造、最近の超高層制振建物や免震構造での異種の減衰機構の混用などから、統一的な扱いが重要になっている。さらに、現状の受動的制御の限界を引き上げる例として、免震と上部構造制振の併用が有効な場合も理論から導かれた。延長として中間層免震も含め複数層の免震、その間の層の制振化も考えられ、これらを断片的、試行錯誤的でなく合理的に評価でき、例えば制振・免震それぞれの制能曲線をひとつに纏めあげて共通の尺度で表すような、統一理論が必要である。 本研究は、制振・免震構造やそれらの併用も包括できる統一理論を築き、上記の様々な設計の変位・加速度の評価を可能にしたうえで、従来の受動的応答制御の限界の引き上げの提案することを目的とする。 本研究課題3年目の研究実績としては、時刻歴応答解析をせずに非構造部材の応用を予測できる、汎用性の高い床応答スペクトルの作成が完了し、その研究成果が日本建築学会構造系論文集に掲載された。また、非構造の一種である電気配線用吊り式ケーブルラックシステムに関して、中国との国際共同研究プロジェクトを立ち上げ、世界的な大規模振動台実験を実施することにより、ケーブルラックシステムの動的特性や崩壊現象を詳細に分析した。 実存制振・免震建物の応答記録分析として、2年目に実施した免震建物の層剛性評価をより厳密に行った成果が、日本建築学会技術報告集に掲載された。 様々なダンパーを対象とした、簡易モデルの時刻歴応答解析手法については、検討対象のダンパーを増やし、かつモデル建物におけるダンパー荷重の寄与分を様々に変化させた時刻歴応答解析を多数行なうことにより、適用範囲に関する検討を行なった。その成果は日本建築学会東海支部研究報告集に発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題3年目として、十分な成果が得られたと考えている。自己点検による評価では「(2)おおむね順調に進展している。」といえる。以下にその理由について述べる。 研究課題5(非構造材応答・損傷の抑制効果)に関しては、詳細な検討をおおむね完了し、日本建築学会構造系論文集に成果が掲載された。 研究課題4(実存制振・免震建物の応答記録分析と詳細・近似解析による評価法の現実的検証)に関しては、研究課題2年目に進めた検討内容が、日本建築学会技術報告集に掲載された。 研究課題1(ダンパー履歴特性の統一的表現法)に関しては、研究課題1年目に大きく進展し、それを更に発展させた内容を日本建築学会東海支部で研究報告している。研究課題2(免震・制振の統一理論と可視化による評価法)と研究課題3(免震・制振・併用構造の統一的評価と性能改善)に関しては、継続して検討する必要があるものの、日本、アメリカ、中国、台湾などのシンポジウム・講演会・勉強会などで進捗状況を随時報告している。 以上のように、3年目の研究成果としてはおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、以下に示す5つのTaskについて、引き続き検討し、それぞれで成果をまとめる。 (Task 1)ダンパー履歴特性の統一的表現法。(Task 2)免震・制振の統一理論と可視化による評価法。(Task 3)免震・制振・併用構造の統一的評価と性能改善に向けた検討。(Task 4)実存制振・免震建物の応答記録分析と詳細・近似解析による評価法の現実的検証。(Task 5)非構造応答・損傷の抑制効果。 それぞれのTaskに関して、本研究課題1~3年目の活動により、多くの成果が得られている。しかし、各提案で適用範囲に関してや、実際の建物へと提案手法を適用する際に生じる具体的な対応策に関しては、検討がやや不足しているため、それらを進めることが主になる。 最後に、本研究課題の4年間で得られた知見を総括するとともに、その成果を設計指針に反映させる。具体的には、中高層建物を想定した各種構造の免制振設計指針と、戸建住宅を想定した小規模住宅制振設計指針へと反映させる予定である。
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Research Products
(10 results)