2016 Fiscal Year Annual Research Report
竹の特性を活かした建築構造の開発およびその構造設計手法、設計施工基準の確立
Project/Area Number |
16H04453
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
陶器 浩一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50363958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下に示す研究を行い成果を得た。 ①竹の断面・寸法の定式化:従前より行っている、竹の直径、肉厚による変化の計測を継続して行い、材種(孟宗竹、真竹)ごとに定式化を行い、その違いについて考察した。全長にわたる寸法変化を計測し、定式化を行った。 ②気仙沼実大モデル「竹の会所」「浜の会所」の現地測定および補修:平成23年度に建設した実大建築「竹の会所」平成25年度に建設した実大モデル「浜の会所」の経年変化につき、継続して微振動測定を実施した。さらに劣化した部材の取り換えを行い、劣化内容を調査した。 ③施工性を確認するための小モデルの建設:素人が数日で建設可能なモデルを構築するため、小モデルの設計および施工を行った。名古屋の庭園で割竹による空間構造を建設した。また、建設に際して施工性を検討、建設に要する人数および日数を把握し、施工指針立案のためのデータを得た。このモデルは高さ4m、幅10m、長さ20mのドーム形状の構築物で、約10人の人間が4日を要して施工した。解体に先立ち載荷試験を行なって、構造性能を確認した。また、短い丸竹部材を組み合わせて構築する工法の開発を行うべく、構築手法の検討を行っている。 ④竹林に構築した公園施設の経年調査および維持管理手法の検討:竹林整備の一手法として、竹林に従前に構築した施設の経年変化を調査し、種類(孟宗竹、真竹)および部材(丸竹、割竹)、および部材位置による劣化度合いの違いを経過観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で示した項目ごとに進捗状況を示す。 ・竹の断面・寸法の定式化:当初計画通り、材種(孟宗竹、真竹)ごとに断面・寸法の定式化を行い、その違いを把握することが出来た。 ・気仙沼実大モデル「竹の会所」「浜の会所」の現地測定および補修:これら実大モデルの経年変化につき、当初計画通り、継続して微振動測定、劣化した部材の取り換え、劣化内容を調査を行った。 ・施工性を確認するための小モデルの建設:素人が数日で建設可能な小モデルを2種類考案し、実際に設計および施工を行い施工性を確認できた。これにより、設計施工指針立案のためのデータを得た。 ・竹林に構築した公園施設の経年調査および維持管理手法の検討:経年変化を調査し、種類(孟宗竹、真竹)および部材(丸竹、割竹)、および部材位置による劣化度合いの違いを把握することが出来た
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Strategy for Future Research Activity |
①竹の断面寸法の変化の定式化:今年度の成果に加え、地域差による影響を調査する。②引張,圧縮,曲げ耐力の定式化:各耐力を決定する要因を明らかにし、その強度の定式化を行う。③接合部耐力と竹材や接合仕様との因果関係の解明のための実験:従来開発した接合方法に加え、更に接合ディテールのバリエーションを増やし、各接合の耐力計算法を確立する。④1~5年間に亘る竹材の機械的性質の変化調査のための材料・接合部実験:今年度に引き続き、材料、接合部強度の経年変化を把握する。⑤実建築の経過観察、および水平加力試験と解体調査:気仙沼実大モデルの経過観察を引き続き行う。平成29年度には「浜の会所」の実大実験を行う。⑥竹の特徴を活かした架構の開発、および構造設計手法ならびに設計施工基準の策定:上記の研究成果を取りまとめ、竹の特徴を活かした架構の開発、および構造設計手法ならびに設計施工基準を確立する。
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