2017 Fiscal Year Annual Research Report
竹の特性を活かした建築構造の開発およびその構造設計手法、設計施工基準の確立
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16H04453
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
陶器 浩一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50363958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は以下に示す研究を行い、成果を得た。 〇気仙沼実大モデル「浜の会所」の解体調査および経年変化後の部材実験の実施:建設後4年が経過(平成25年度建設)した実構造物「浜の会所」の解体を行った。解体に先立ち、構造部位(屋根、柱、基礎)ごとに劣化の程度を観察し、解体時に各部位ごとに部材を採取して、経年変化後の部材の構造特性確認実験を行った。この結果は平成30年度日本建築学会大会にて発表する。 〇気仙沼実大モデル「竹の会所」の構造性能および竹材の経過観察および実構造物加力試験:建設後7年が経過(平成23年度建設)した実構造物「竹の会所」の構造性能および竹材の経過観察を行なった。また、当該構造物が平成29年11月に台風直撃を受けて大きな被害が生じたため、被害状況の調査および補修方法の検討および補修の実施を行った。その後一定期間観察して補修後の性能を確認した後、実大加力試験を行った。これにより、災害を受けた際の補強手法およびその効果を確認することができた。尚、実大加力試験は平成29年度中に行う計画であったが、補修および補修工法の検討のため、翌年度に繰り越して実施した。 〇竹林に構築した公園施設の経年調査おうおび維持管理手法の検討:竹林整備の手法として、間伐した竹材を用いて竹林に構築した施設の経年変化を調査し、種類、部材、位置による劣化度合いの違いを経過観察し、劣化した部材の修繕方法を検討した。尚、この研究は継続して行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で示した項目ごとに進捗状況を示す。 〇気仙沼実大モデル「浜の会所」の解体調査および経年変化後の部材実験の実施:建設後4年が経過した実構造物解体にあたり、構造部位(屋根、柱、基礎)ごとに劣化の程度を観察し、解体時に採取した試験体の構造実験を行っている。また、これにより得られた結果は平成30年度に日本建築学会大会にて発表している。 〇気仙沼実大モデル「竹の会所」の構造性能および竹材の経過観察および実構造物加力試験 :建設後7年が経過した実構造物につき構造性能および竹材の経過観察を行なった。当該構造物が11月に台風直撃を受けて大きな被害が生じたが、被害による主構造部材の補修に関する研究(補修方法の考案および効果の観測)を行うことができた。これにより平成29年度中に行う予定であった実大加力試験は翌年度に繰り越して実施し、実構造物の実大加力試験により経年変化後の構造特性を確認することができた。 〇竹林に構築した公園施設の経年調査おうおび維持管理手法の検討:この研究は継続して行っており、毎年の調査および補修の実施により、研究経過は蓄積されている。
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Strategy for Future Research Activity |
〇竹構造物の構造特性の経年変化に関する研究:本年度解体した構造物から採取した試験体を用いて、建設後4年が経過した部材の実験(引張、曲げ、せん断)を行い、劣化の程度と構造強度低下の関係を考察する。また、建設後7年半が経過した実構造物(竹の会所)の上部構造を解体する。解体にあたっては、人力による解体工法を検討し、その手法を確立する。解体に際しては経年変化後の材料特性、接合部特性確認実験を行うための試験体を採取する。また、今までで明らかになった研究成果を日本建築学会大会にて発表する。 〇新たな新たな建築材料としての可能性の模索:より大規模な建築物への応用を視野に入れ、工業製品としての新たな建築材料の開発の準備のための要素試験を行う。
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