2019 Fiscal Year Annual Research Report
竹の特性を活かした建築構造の開発およびその構造設計手法、設計施工基準の確立
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16H04453
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
陶器 浩一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50363958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
〇竹の材料特性および接合部の経年変化調査:平成23年9月に建設、平成30年に実大実験後上部構造を解体した実建築物「竹の会所」の解体時に採取した試験体を用いて、部位ごとの劣化状況および構造特性の経年変化を測定した。更に9月に下部・基礎構造部分の解体を行い、目視による劣化度の調査および強度試験(引張、曲げ、せん断)、接合部の強度試験を行なった。目視調査においては場所ごとおよび方位による劣化程度および劣化の種類の分類を行なった。上部構造下部構造あわせて、建物全体の変状と劣化度合いの関係を分析した。また、採取位置および劣化の度合いをパラメータに強度試験を行い、破壊性状および復元力特性の違い、およびそれによる強度への影響を分析した。本研究結果を2020年日本建築学会大会梗概に投稿した。 〇 アジアの竹の特性調査:南アジア(フィリピン)の株立ちして生育する竹の形状・寸法、および強度特性を調査し、日本の竹との違いを明らかにした。生育する部位(株立ちの中央および外側、下部および上部)による断面肉厚および強度の違いを明らかにすることが出来た。更にそれらの定式化を行い、本研究結果を2020年日本建築学会大会梗概に投稿した。 〇本研究成果を、国際シンポジウムGreen Initiative Week in the Philippines,Cebu, Philippines,にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
〇気仙沼実大モデル「竹の会所」の解体調査および経年変化後の部材実験の実施:建設後7年半が経過した実構造物を解体し、経年変化後の建物の全体挙動、場所ごとの劣化程度および劣化の種類の分類、および経年変化後の竹部材の構造性能を確認することが出来た。経年変化後の竹の構造特性を調査した研究は極めて少なく、竹構造建築の設計に重要な知見を得ることが出来た。また、これらの研究成果をまとめて日本建築学会大会梗概(2020)に投稿している。 〇アジアの竹の特性調査:南アジア(フィリピン)の株立ちして生育する竹の調査により、場所による特性の違いを明らかにすることが出来た。また、断面寸法(径、肉厚)および強度分布を定式化することにより、設計に必要な情報を得ることが出来た。また、これらの研究成果をまとめて日本建築学会大会梗概(2020)に投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
〇架構方法開発および接合部開発:竹の特徴を活かした架構方法および接合部の開発を行う。規模および用途に応じた建築形並びに架構方法を模索する。また、国内のみならず、アジア(フィリピン、インドネシア)の竹を用いた、現地で施工可能な構法の開発も検討する。 〇アジアの大規模竹建築の実地調査:南アジア(インドネシア)の大規模竹建築の実地調査および設計者へのヒアリングを行い、材料特性、架構法、経年変化に対する対処などにつき調査を行う。 〇実大モデルの制作および加力試験:研究成果の確認のため、実大レベルの構築物を制作し、施工性の確認および耐力の確認を行う。 〇竹を用いた建築架構プロトタイプの策定、研究とりまとめ:本研究のまとめとして、竹を用いた建築架構プロトタイプを策定し、設計・施工手法についてまとめる。研究成果を論文等で発表する。
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