2018 Fiscal Year Annual Research Report
動的オーセンティシティ発現構造にもとづく文化的景観の計画体系化国際共同研究
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16H04473
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神吉 紀世子 京都大学, 工学研究科, 教授 (70243061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小浦 久子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (30243174)
工藤 和美 明石工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (40311055)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動的オーセンティシティ / 文化的景観 / 計画体系 / 国際共同研究 / フィールドスクール / インドネシア / ドイツ・ルール地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
国外では、前年度の取組みを継承し、ドイツ・ドルトムント工科大学、アメリカ・ミシガン大学と共同で5月に世界遺産「ツォルフェアアイン炭鉱業遺産群」(ドイツ・エッセン市)とその周辺地区の空間的統合をテーマに現地フィールドスクール・研究集会を開催した。2010年のOMAによる保存整備マスタープランを批判的に捉え直し、閉じられた遺産から地域と包摂する場へと転換するデザイン提案を行った。2018年のルール地方全炭田閉鎖も契機としており地域将来像を文化的景観進化像として扱った。前回の日本側でスクール開催地の京都市の事例地のその後経過もここで報告した。 インドネシアでは9月にジャカルタの湾岸密集居住地でフィールドスクールを開始した。広域整備事業のなかで一度撤去された居住地を再建すると州が決定しその関係業務の委託をうけているRUJAKとの共催である。湾岸の環境・歴史・伝統生業・生活スタイル等を複合的に理解し文化的景観の持続再生像としてデザインするよう扱った。3月には、19年度以降のため、長期的視点からフィールドスクールの実績評価を行うためジョグジャカルタ特別州とボロブドゥール地方の現状を調査した。 国内では、兵庫県豊岡市の日本海沿岸集落である竹野浜地区において文化的景観の主要な価値の一つである民家壁材の焼杉板を製作して活用するフィールドスクールを実施し特に18年度から地元組織である観光協会と自治体構成員から成るNPOが主体となる実施を取り組んだ。また同県養父市大屋町明延地区では文化的景観と閉山後の鉱山集落の持続課題と計画に取り組み、空き家を活用したワークショップを実施し、鉱山社宅の居住歴に関する調査を行った。さらに、高知県四万十川流域地域の文化的景観と発電施設開発との関係について調査考察を行った。 成果発表等についてはスクール等での報告、スクール後のフォロー調査を含めた学術発表等を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は最初の2年に実施した国外・内のフィールドスクールとその共催先との連携継続を重視して連続開催を行うことと、ジャカルタや兵庫県養父市等の新規の事例についてはこれまでの実績からの考察をいかしてスクールの内容にねらいを発展的により明確にして企画し、応用例としての意味をもたせることができた。以上フィールドスクールとその連携関係の中での議論を継続できていることは順調と考えている。同時に2019年度以後の2年を成果とりまとめに重点を移すために、これまでの実績の評価作業の準備も開始した。そこで2019年6月には京都で研究会を開催予定である。以上から、全体としておおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019、2020年度は研究期間の終盤2年間にあたることから、これまでのフィールドスクール開催を通じて得られた具体的な記録や、文化的景観の進化的保全に対するフィールドスクールの影響を鑑みた技術的知見を、とりまとめることに、より重点を置く予定である。2018年度終盤にはその準備と打ち合わせを開始し、とりまとめの一環としての講演会等を2019年度前半に開催するよう企画した。一定数のフィールドスクールを開催維持しながら取りまとめを進捗できるように、要所・適したタイミングでのスクール開催と、文化的景観の保全に関わってきた人材の講演会等を実現しながら、進める予定である。また、最終成果の公表のしかたについても2019年度中には決定し、2020年度にむけて十分な準備を行いたい。
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Research Products
(18 results)