2017 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染を内包する産業ランドスケープのGI化のためのプラットフォーム構築
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16H04474
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 浩和 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (20346125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 智子 和歌山大学, システム工学部, 教授 (30351240)
黒瀬 武史 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (50598597)
保高 徹生 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ付 (60610417)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 都市・地域計画 / 行政・制度 / 土壌・水環境 / 環境保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は人口減少とそれに伴う社会の縮退化のコンテキストを背景として環境汚染を内包する産業ランドスケープのGI化のための新たなプラットフォームを構築することを目的としている。本年度は引き続き「現地調査とステークホルダーへのヒアリング」として、これまでに選定したGI 化の事例において関連する様々なコミュニティと派生する複数のプロジェクトについての現地調査を実施した。 ドイツでは産業ランドスケープに残された産業遺産を有効に活用して緑地整備を行いグリーンツーリズムに繋げる工夫が見られること、アート活動、国際建築展(IBA2010 等)などの文化芸術活動を効果的に利用していることなど、GIをもとに展開される文化的再生戦略の状況を把握した。 英国では北西部の旧産業地域においてコミュニティフォレストが整備され, GIが地域の歴史や特徴を理解し体験できる地域学習の場として重要な役割を担っていること、また長期的な整備や維持管理費用の確保のために、官民をはじめとする複数の関係者によるパートナーシップが形成されていること、地域団体による住民主体の取り組みに展開し、地域との協力が積極的に進められていることなど官民連携とコミュニティとの合意形成の仕組みを把握した。一方、米国では北東部のデトロイト市において人口減少時代を踏まえた縮退型の都市計画が策定されており、空き地が多く存在する地区では、公的機関が民間主導の計画と調整を図りながら活動していること、中でも住民とコミュニティ開発組織が共同で立ち上げた地区スケールの計画や連邦政府のプログラムが地域のGI整備に対して積極的な支援を行っていることなど、官民連携と民間事業者や住民がGI整備に参画するためのメカニズムについて把握した。 またこれまでに得られた結果について国内外の研究協力者との議論を行い、公共および民間の投資を誘導するための評価手法の可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は「産業ランドスケープの活用と文化的再生戦略」と「官民連携と住民参加のメカニズム」に関して、日本と欧米諸国における産業ランドスケープのGI化の代表事例の現地調査を実施できた。またその成果は国内外の研究者を交えた研究会で議論するとともに、学会等において発表しており、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は国内外における制度的フレームワークとGIの都市計画における位置づけを背景として、これまでの調査結果の分析と構造化を行う。そのため必要に応じて追調査と研究協力者とのミーティングを行うとともに、ワークショップを開催し、環境的価値・社会的価値とその評価手法との対応を検討することで、環境汚染を内包する産業ランドスケープのGI 化のための共通のプラットフォームの構築を行う。
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Research Products
(8 results)