2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04495
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿本 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40335089)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 環境材料 / セラミックス / 電子・電気材料 / 無鉛圧電体 / 疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はニオブ系圧電セラミックスの疲労特性に及ぼすCharged(帯電)ドメイン壁の寄与に着眼した研究推進を目指し、繰返し動作による低抵抗化に基づく脱分極現象やドメイン壁の移動/回転に伴うマイクロクラック形成等の機械的損傷について、電気機械的に相互作用する疲労メカニズムを解明することを目的としている。 本年度は、エルランゲン・ニュルンベルグ大学の協力のもと、温度/電界/力学負荷からなるマルチ負荷条件下におけるニオブ系圧電セラミックスの疲労耐性を、有限要素解析プロトコルを組み込んだ「インバース法」によって詳しく調査した。さらに、室温近傍に斜方晶(低温相)-正方相(高温相)をもつ(Li,Na,K)NbO3系セラミックスの誘電率の温度+圧縮応力依存性を温度別に調べたところ、圧縮応力の増加にともなって、相変態前後の温度域でドメイン配向およびドメイン壁のピン留め現象に由来する誘電率の増減が明瞭に認められた。強誘電性-強弾性相関を明らかにするとともに、応力誘起相転移や応力負荷/除荷過程におけるドメイン壁移動の非可逆性を評価可能とした。 一方、新たな分光解析法として、得られた複素インピーダンス成分から緩和過程を推定し、等価回路フィッティング可能とするハイパワーインピーダンス計測システムを構築したところ、高周波数側から粒内、粒界、電極-誘電体界面の電気伝導性を明瞭に分離(分光)可能とした。さらにドメイン壁の緩和過程と推定されるような巨大な静電容量値とその印加電界依存性を初めて見出した。これらは非180°ドメインの回転とそれに伴う粒内の電気伝導機構の変化を捉えているものと推定しており、各種条件下における動的疲労機構との因果関係について検証した。以上の知見について取りまとめ、成果発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度目的とした圧電セラミックスの疲労耐性の評価に成功し、新たな分光分析にも取り組み開始できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
得られた各種耐性試験や分光評価結果を踏まえて、圧電セラミックスの動的疲労機構の解明に取り組む。
|
Research Products
(12 results)