2016 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波照射加熱による物質移動の選択的促進と材料創製への応用
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16H04497
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 昭 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (30211874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀考 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90164954)
寺西 貴志 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (90598690)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミリ波 / ジルコニア / セリア / 拡散係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍石型構造のZrO2-CeO2の拡散対で,カチオン相互拡散におけるミリ波照射の効果を調査し,拡散を促進させることを目的とした。固相法で得られた焼結体で拡散対を作るため、それぞれの焼結体の表面を9 µm,3 µm,1 µmのダイアモンドペーストで鏡面研磨を行った。そして拡散対にるつぼ状のアルミナ250 gの重しをのせたまま電気炉及びMSP製のミリ波照射装置で1560℃~1640℃の温度域において2時間~8時間保持で拡散アニールを行った。拡散対は3 mmに切断し表面研磨を行った後SEM-EDXを用いて界面付近の観察と元素分析を行った。 拡散対のCeイオン濃度50 %での相互拡散係数を示す。全ての温度でミリ波照射による相互拡散係数が従来法を上回り陽イオン相互拡散が促進しているが明らかになった。また,算出された相互拡散係数からアレニウスの式より相互拡散の活性化エネルギーを求めた。 ミリ波処理と電気炉処理での活性化エネルギーの比較したところミリ波照射による活性化エネルギーは従来法によるものより低く、35.8 %減少した。つまりミリ波照射ではより短時間で同等の拡散を起こすことが可能である。CeO2-ZrO2系での相互拡散はCeイオン濃度が大きいほど促進量が大きく,いずれの濃度でもミリ波照射下の方が大きな値を示した。これはCeO2がZrO2よりミリ波を吸収するため,各地点に存在するCeイオンが、その効果を受け拡散の駆動力であるエネルギーが増大したためだと考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍石型構造のZrO2-CeO2の拡散対で,カチオン相互拡散におけるミリ波照射の効果を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ミリ波によるセラミックスの低温・迅速焼結の理由を拡散の促進によって説明するとともに、拡散の促進率、電場・応力下の物質移動の促進とそれらのイオン種依存性について明らかにしていく。本研究は、促進度合いのイオン種依存性を系統的に調べる世界で初の試みとなる。通常赤外加熱の下で相対的拡散が遅いイオン種の拡散がミリ波照射下でより促進されたならば、優先拡散の方向が逆転するなど興味深い現象も予測される。このような場合、ミリ波・赤外線を同時照射し、出力を独立に制御したならば、異なるイオン種でも固有拡散速度をそろえることが可能になり、ボイドを含まない完全なセラミックスの拡散接合が実現する。これをセラミックスの強化に応用することを目指す。
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