2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04503
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
川村 みどり 北見工業大学, 工学部, 教授 (70261401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木場 隆之 北見工業大学, 工学部, 助教 (40567236)
室谷 裕志 東海大学, 工学部, 教授 (70366079)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 極薄金属表面層 / 銀薄膜 / 光学特性 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、我々が以前開発した、銀薄膜に極薄表界面層を積層させることにより、加熱しても凝集せず、低電気抵抗率も保持できる高安定銀薄膜の反射率特性を調査することである。極薄表面層を銀膜上に積層させると反射率が低下する恐れがあるが、どの程度の影響が生じるか調査するために、まず、アルミ表面層を用いた積層構造でその影響を検討した。この際、成膜法についても真空蒸着法とスパッタリング法の両方を用いた。 一般に、真空蒸着法の方が高反射率膜が得られると報告されているが、本実験結果でも銀膜厚を100nmで比較した場合は、蒸着膜の方が、高い反射特性を示した。ただし、スパッタリング法でも150nmの膜厚にすると同等の高反射特性が得られた。蒸着法では積層アルミが1, 3nmの場合、銀単層と同じ反射特性を示す一方、スパッタリング法では、1nmの時に銀単層とほぼ一致するという違いがみられた。積層したアルミ層は、大気中でアルミ酸化物となるが、堆積アルミ膜厚が5nmに増加すると、一部メタル状態で残存し、積層膜の反射率低下につながると考えられる。これについては、薄膜反射率のシミュレーション結果と一致した。また、3nmでは、蒸着膜では酸化物となっていたが、スパッタ膜では、5nm堆積した場合に近い反射特性が得られた。 チタン表面層に関してもスパッタリング法を用いて作製した積層構造において、同様に表面層の厚さの影響を調査した。1nm積層では、銀と同様の反射特性が得られ、3nm以上の厚さでは、反射特性における低下が認められた。表面層物質の違いは、金属及びその酸化物の光学特性に起因するという知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度予定していた内容については、ほぼ実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
積層構造の反射率特性において、更に入射角度依存性についても調査し、単層膜及びアルミ積層膜での違いがないか検討し、より詳細に光学特性を明らかにする。 また、積層させる表面層金属の種類については、高安定性銀薄膜の作製に有効であった金属群から幾つか追加して検討を継続する。 さらに、高反射率特性を有するアルミ積層高安定銀薄膜試料を恒温恒湿器内に保持して、高湿度下での環境試験を実施し、環境耐性についても評価を行う。その結果から極薄表面層の保護膜としての性能を明らかにする。
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