2016 Fiscal Year Annual Research Report
光導波型相分離シンチレータの規則構造制御による高解像度化と大口径化に関する研究
Project/Area Number |
16H04505
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉川 彰 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50292264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 俊介 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (80613637)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 共晶体 / シンチレータ / 一方向凝固 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は以下の2課題について検討を進め、それぞれ計画以上の進捗が得られた。 1.規則構造安定化に向けた、GAP/α-Al2O3への添加元素検討 の課題では、添加元素としてLa,Nd,Tb,Y,Lu,Ga,Scの7元素について検討を行い、Gdよりもイオン半径の小さいY,Lu側、Alよりもイオン半径の大きいGa,Sc側ではガーネット相の発現により不良と確認できた。La添加側で規則相維持もマトリックス相がAl2O3から(GdLa)Al11O18となっていることを同定し、添加前の状況が最良との状況を確定させた。さらに、μ-PD法では、5mm□において温度勾配向上策が、均一性向上に効果的であることを確認した。 2.μ―PD法およびEFG法における大口径化に向けた坩堝ダイ形状の検討 の課題では、5mm□坩堝における検討結果を踏まえて、7.5mm□、10mm□、20mmφのダイを有する坩堝の3条件について検討した。従来μ-PD法は、その名前にある通り、大口径の引き下げが実施されたことがなく、10mm□以上のダイは過去最大級のサイズとなる。検討の結果、メルト供給効はダイの口径が拡大した場合でも1か所穴かつオフセット位置が最適であることが分かった。さらに、EFG法による5㎜角程度の結晶の作製を進めたが、メルト供給孔付近の固液界面の平坦性が低下し、不規則領域が発生することから、大型化の検討はμ-PD法を中心に進めるべきとの判断を下した。また、EFGおよびm-PD法での検討によりメルト供給孔付近の固液界面の平坦性が低下し、不規則領域が発生することを確認したため、平坦性を確保するダイの設計が重要であるとの結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.規則構造安定化に向けた、GAP/α-Al2O3への添加元素検討 の課題では、添加元素としてLa,Nd,Tb,Y,Lu,Ga,Scの7元素について検討を行い、Gdよりもイオン半径の小さいY,Lu側、Alよりもイオン半径の大きいGa,Sc側ではガーネット相の発現により不良と確認できた。La添加側で規則相維持もマトリックス相がAl2O3から(GdLa)Al11O18となっていることを同定し、添加前の状況が最良との状況を確定させた。さらに、μ-PD法では、5mm□において温度勾配向上策が、均一性向上に効果的であることを確認したため、当初の計画以上に研究が進展していると判断した。 2.μ―PD法およびEFG法における大口径化に向けた坩堝ダイ形状の検討 の課題では、5mm□坩堝における検討結果を踏まえて、7.5mm□、10mm□、20mmφのダイを有する坩堝の3条件について検討した。従来μ-PD法は、その名前にある通り、大口径の引き下げが実施されたことがなく、10mm□以上のダイは過去最大級のサイズとなる。検討の結果、メルト供給効はダイの口径が拡大した場合でも1か所穴かつオフセット位置が最適であることが分かった。さらに、EFG法による5㎜角程度の結晶の作製を進めたが、メルト供給孔付近の固液界面の平坦性が低下し、不規則領域が発生することから、大型化の検討はμ-PD法を中心に進めるべきとの判断を下した。以上の通り、大口径化に向けた坩堝ダイ形状の検討を進め、計画以上となる20㎜φでの検討をすす絵m手織り、当初計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は以下の2課題について研究を進める。 2.μ―PD法およびEFG法における大口径化に向けた坩堝ダイ形状の検討 前年度に得られた知見を基にダイ形状、穴形状・個数を決定し、不規則領域の無い10㎜角のシンチレータウエハを十分に取得できるよう25㎜角程度の面積を有するダイを設計する。共晶体組成については、1.ので得られた規則構造の安定性・シンチレータ特性の観点から最適な組成を用いる。大面積のダイにおいて不連続面の存在や相分離構造を均一に得られない可能性もあるが、この場合、規則領域を一部切り出し、有効面積を満足する並列配置技術や不連続部分の画像補正技術の検討も進める。共晶体作製においては、ダイと融液の濡れ性、固液界面形状、ダイの穴数と重力の影響によるメルトの挙動を考慮し、ダイの設計、断熱材配置条件の検討を実験、計算の両面から進めることで、10mm角の有効面積を得るべく大口径化を検討する。 3.超高解像度イメージングの実証試験 X線イメージングに十分な視野を確保しCMOSセンサとのアセンブリ可能な、1インチφ程度の有効面積を確保する共晶体サンプルを加工した後、検出器への使用を想定しているCMOSセンサへの貼り合わせ方法等の検出器構成を検討する。検出器構成については、光線追跡シミュレーションにより構造設計し、同時に相分離シンチレータの表面平滑処理と空気が入らないよう接着材料の選定を行う。また、散乱線の影響が出ないよう遮蔽材とシンチレータの厚みを調整していく。また、相分離構造のシリンダー相の周期と解像度依存性を明確にする。CMOSセンサとのアセンブリおよび、検出器試作に関しては、現在共同研究者である、キャノン社安居主任研究員の協力を適宜仰ぐ。
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Research Products
(4 results)