2017 Fiscal Year Annual Research Report
Zr合金のマルテンサイト変態の材料学的基礎の確立と新規生体用形状記憶合金の開発
Project/Area Number |
16H04514
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金 へよん 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20333841)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マルテンサイト変態 / Zr合金 / 生体材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度には、Zr-Nb-Al合金およびZr-Nb-Sn合金に着目し、Nb、Al、Sn濃度が、変態・変形特性、微細組織に与える影響を詳細に調べ、超弾性を示す組成範囲を明確にした。Arアーク溶解法によりZr-(7-12)Nb-(3-11)Al (at%) 合金、Zr-(8.5-9.25)Nb-(4-5)Sn合金インゴットを作製し、真空下において均質化処理及び溶体化処理を行い、最終圧延率95%まで冷間圧延を行った。その後、1173K-1.8ksの熱処理を施した試料を用い、XRD測定、負荷除荷試験による形状記憶特性の評価、磁化率の評価、マルテンサイト逆変態温度の評価、TEMによる微細組織の観察を行った。3Al、4Al添加材では形状記憶効果は確認できたが、超弾性は発現しなかった。5at%以上のAlを添加した試料では、Nb濃度を調整することで超弾性が発現した。例えば、Zr-10.5Nb-5Al、Zr-10Nb-6Al、Zr-9.5Nb-7Al、Zr-9Nb-8Al、Zr-8.5Nb-9Al合金は良好な超弾性を示した。Zr-9Nb-8Al合金では、超弾性回復歪みが4%超える優れた結果が得られた。逆変態温度は、-110 K/1at.%Nb および-50 K//1at.%Alの変化率で低下し、NbはAlより変態温度を低下させる効果が2倍程度強いことが分かった。また、磁化率に及ぼす組成の影響を調査した。その結果、Nb濃度の増加に伴い、磁化率は単調に上昇したが、Al濃度が増加すると磁化率は上昇した後低下する傾向を示した。いずれの組成においても1.7x10-6 cm3/g以下で、Tiの磁化率の半分の値を示した。Zr-Nb-Sn合金においても同様な実験を行い、超弾性特性を示す組成範囲を明らかにした。また、熱処理条件を制御することにより超弾性特性の向上が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Zr-Nb-Al系およびZr-Nb-Sn系合金の結晶構造、微細組織、機械的特性に及ぼすAl、Sn、Nb濃度の影響を系統的に調査し、低磁化率および超弾性を示す新規β型Zr合金を開発に成功し、特許出願を行った。また、Zr-Nb基合金の超弾性特性改善について新たな知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの結果を基にZr-Nb-Al三元合金およびZr-Nb-Al-Sn四元合金を対象とし、加工性、変態温度、強度、磁化率、変態歪みに与える組成の影響を詳細に調べる。低磁化率、生体適合性、超弾性、高強度を併せ持つ合金の組成範囲を明確にし、合金設計指針を明らかにする。また、Zr合金のマルテンサイト変態の材料学的基礎を確立する。
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