2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of growth factor-free tissue adhesives with angiogenic and tissue adhesive properties
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16H04524
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田口 哲志 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, バイオポリマーグループ (70354264)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 接着剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
調製した接着剤をブタ大動脈組織片に対し、ASTM規格に則った装置を用いて耐圧強度を測定した。ブタ大動脈については疎水化前のオリジナルゼラチンと比較して、疎水化ゼラチンを用いることにより3倍以上の強度が得られた。耐圧試験後の血管組織と接着剤の界面を観察すると、オリジナルゼラチンを用いた場合には接着剤と血管組織との界面で破壊しているのに対し、疎水化ゼラチンを用いた場合には、接着剤が組織に接着したまま、組織が破壊している様子が観察された。このことから疎水基導入により接着剤と組織間の界面強度が増加することが明らかとなった。接着剤と生体成分との相互作用を調べるため、蛍光ラベルした疎水化ゼラチン/オリジナルゼラチンを培養細胞に添加し、細胞膜表面への集積を調べた。その結果疎水化ゼラチンを用いた場合には細胞表面への集積が多く観察されたが、オリジナルゼラチンの場合には集積の程度が低かった。そのため、ゼラチンに導入した疎水基が細胞膜へアンカリングしていることが示唆された。また、表面プラズモン共鳴法を用いて疎水化ゼラチンと細胞外マトリックスタンパク質であるフィブロネクチンおよびフィブリリンとの結合定数を調べた結果、疎水化によりフィブロネクチンとの結合乗数が優位に増加することが明らかとなった。一方、マウス背部皮下に疎水化ゼラチン、オリジナルゼラチンからなる接着剤を埋入後、血管新生の程度を組織切片の定量評価によって調べた結果、疎水化ゼラチンを用いることにより優位に血管新生が促進されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、合成した疎水化ゼラチンを用いた生体軟組織に対する接着性の評価、細胞・組織レベルでの接着メカニズムの検討、血管新生のin vivo評価を中心に研究を進めた。これらの項目は、当初計画された通りの内容であるため、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は最終年度となるため、当初計画していた研究項目について引き続き計画的に進めていく予定である。
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Research Products
(21 results)