2017 Fiscal Year Annual Research Report
特異配向炭素ナノファイバーを担体とする高活性・高耐久性酸素電極の創製
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16H04530
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
幅崎 浩樹 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50208568)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 炭素ナノファイバー / 酸化物担持 / 電極触媒 / 酸素還元 / 燃料電池 / 空気電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,細孔径の揃ったシリンダー状細孔を有する多孔質アノード酸化アルミナを鋳型として,液相鋳型法でプレートレット構造炭素ナノファイバー(pCNF)を合成し,これをナノ粒子の均一担持担体として利用し,高活性な酸素電極の創製を目指すものである。本年度は前年度のPt担持がpCNF上に均一に可能である結果をもとに,Ptフリー化を目指してCo3O4の担持とその電極特性評価を行った。 pCNFは硫酸中でアノード酸化を行って調製したアノード酸化アルミナ鋳型とポリ塩化ビニル粉末から作製し,これにCo3O4ナノ粒子担持を行った。また,比較炭素材料として側面が炭素の基底面で構成される多層カーボンナノチューブ(CNT)と一般的に炭素担体として用いられる炭素の一つであるケッチェンブラックを用いた。CNTにはCo3O4の担持量も少なく,均一な担持は困難であることが明らかになる一方,pCNFには,均一かつ高密度に数nmサイズのCo3O4ナノ粒子が担持されることが明らかとなった。したがって,側面に炭素のエッジ面が露出したサイトはPtのみならず酸化物に対しても有効な担持サイトとなることがわかった。 次に酸素還元特性を回転ディスク電極を用いて評価した。担持前の炭素材料3種類について調べた結果,表面積が他のものよりもかなり大きなケッチェンブラックが最も高活性であったが,Co3O4を担持した試料では,均一担持ができたCo3O4/pCNF試料が最も高活性になった。炭素材料のみでは反応電子数が4よりもかなり小さくなるが,Co3O4を担持することで反応電子数の大きな増大も確認することができた。 以上,酸化物ナノ粒子の担持に,炭素表面の構造制御が重要であることということを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プレートレット構造炭素ナノファイバーが酸化物ナノ粒子の均一担持にも有効であること,活性向上も確認できたことから,順調に推移していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.バイファンクショナル酸素電極の創製 昨年度までの研究において,Co3O4ナノ粒子の均一担持がプレートレット構造炭素ナノファイバーを担体として用いることで簡単に行うことができ,酸素還元反応に対して高活性となることが見いだされた。さらに窒素ドープしたプレートレット炭素ナノファイバーを用いるとさらに活性が向上することも明らかとなった。本年度は,この成果をもとに酸素還元のみならず酸素発生にも高活性なバイファンクショナル電極触媒の創製を目指す。具体的には,酸素発生に高活性を示すFeNi系酸化物ナノ粒子などの均一担持を行うとともに,酸素還元に高活性なCo3O4などとの複合担持を行う手法を開拓する。また,酸素発生の場合,プレートレット構造炭素ナノファイバーの酸化消耗が耐久性に大きな影響を及ぼすと考えられる。プレートレット構造炭素ナノフ ァイバーの熱処理温度を変化させて,黒鉛化度を制御し,耐久性および活性やナノ粒子の均一担持特性に及ぼす影響を明らかにする。 2.炭素の電極特性に及ぼす役割の解明 ナノ粒子担持炭素電極の炭素は単に導電性を確保するだけでなく,活性にも影響を及ぼす。最近,炭素自身が酸素の2電子還元性能を示し,さらに酸化物等のナノ粒子が生成する過酸化水素を還元することで,4電子還元が起こることが示唆されている 。本研究では,ナノ粒子の添加前後での酸素還元特性の変化,反応電子数の変化を定量的に評価するとともに,ナノ粒子/炭素の界面を高分解能透過電子顕微鏡などを用いて解析する。X線香電子分光法を用いてナノ粒子の電子状態解析も行い,炭素とナノ粒子の複合効果について検討を行い,高活性電極の設計指針の確立を目指す。 3.炭素の劣化サイトの特性 酸素発生環境で消耗しにくい炭素の探索とともに,その消耗の優先サイトの特定を目指す。これにより炭素の構造と酸化消耗耐性との関係を明らかにする。
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Research Products
(1 results)