2016 Fiscal Year Annual Research Report
高速超親水・超撥水金属材料の創製と熱エネルギー交換デバイスへの応用
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16H04531
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊地 竜也 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60374584)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アノード酸化 / 超親水 / 超撥水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、特異なナノ構造によって高速超親水性・超撥水性を発現する耐食性アルミニウム材料を開発し、これを熱エネルギー変換デバイス材料に応用するための基盤技術の確立を目的としている。平成28年度は、アルミニウム表面をアルミナナノファイバーで被覆することにより、高速超親水性を発現する新規なアルミニウム材料の作製に挑戦した。 高純度アルミニウム試料および各種アルミニウム合金を研磨したのち、ピロリン酸(脱水重合二リン酸)溶液中に浸漬してアノード酸化を施した。アノード酸化の極初期には従来法と同様、バリヤー型およびポーラス型酸化皮膜が生成するが、それらの皮膜はただちに局所的な化学溶解を生じ、アルミニウム上に無数のアルミナナノファイバーが生成・成長した。アノード酸化電圧、時間および温度を種々制御することにより、密度や長さの異なるアルミナナノファイバーを形成できた。ナノファイバーの成長とともに、周囲のナノファイバー同士が絡み合ったバンドル構造を形成した。生成したナノファイバーは電解質アニオンを含まない純粋なアルミナであることがわかった。 ナノファイバー形成アルミニウム試料の水濡れ性を評価すると、着滴後に接触角は急激に減少し、いずれの場合においても接触角10°以下の超親水性を発現した。最適なアノード酸化条件では、着滴後0.1 sで接触角10.5°、2 sで2.2°であった。アルミニウム表面の超親水性は、長時間の大気暴露試験においても保持されることがわかった。このような高速超親水性は、アルミナの優れた親水性に加えて、無数のアルミナナノファイバーが表面を覆っていることによって、水が接する表面積が大幅に増大し、みかけの表面張力が大きくなることにより、拡張濡れを生じたためと予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画内容を達成し、次年度の研究に向けた予備的・基礎的実験も行うことができたため、当初の計画以上に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を発展させて、超撥水アルミニウム材料を容易に作製するための新規プロセス開発に挑戦する予定である。
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