2017 Fiscal Year Annual Research Report
パルス大電流印加が共有結合性半導体結晶のパイエルスポテンシャルに及ぼす影響
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16H04535
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森下 浩平 京都大学, 工学研究科, 助教 (00511875)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パルス通電 / 共有結合性半導体結晶 / 変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「パルス大電流印加が共有結合性半導体結晶のパイエルスポテンシャルに及ぼす影響」を解明することを最終目的とし,以下の3点を本研究の主要課題として設定した.まず,(1)パルス大電流印加状態における共有結合性半導体結晶の活動すべり系を特定する.次いで,(2)印加するパルス大電流の変化に対する分解せん断応力の応答性を把握し,(3)パルス大電流印加状態での容易変形性が,パイエルスポテンシャルを規定するどの因子に影響を及ぼした結果であるのかを明らかにする.これにより,高温場による熱活性化過程に依らない,新たな変形機構の解明を目指す. 本年度は,現有のパルス通電型圧縮試験機および新規作成装置を用いて実験を進めた. パルス大電流印加状態での圧縮変形による変形挙動,分解せん断応力とパルス大電流との関係に関する研究を行うとともに,X線装置に組み込める小型引張試験機の問題点洗い出しと設計・製作・導入を進めた. 種々の圧縮軸方位がとれるように切り出した角柱試料の全面をフッ硝酸エッチングすることで鏡面試験片を準備した.圧縮試験を行うことですべり線解析を行い,活動すべり系を検討した.これにより,パルス大電流印加状態での変形がすべり系の活動を基本としていることを確定させたが,前年度問題となっていた外的環境(温度場・電場)の違いの効果を解明するには至らなかった.今後,より試料周りの外的環境を制御できるように改良を加えたうえでの検討が必要である. 一方で,パルス大電流印加状態での変形中の,特に格子面間隔の変化について評価するための小型試験機の設計を進めた.小型引張試験機は,ラボレベルのX線装置に組み込むことを想定しているが,大型放射光施設のハッチ内にても運用可能なように設計・検討を進めた結果,昨年度の評価装置の機関部を流用することでこれを実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究立案段階では想定していなかった外的環境の影響の解明ができていない為、その検討に時間を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在最大の課題となっている,外的環境(温度場・電場)の制御とその影響把握に注力する.温度場については,現状,半導体を通電可能にするための予加熱機構を通電後も用いることでも検討が可能である.また,グラファイトスリーブを導入し,予加熱機構により通電かつ試料と絶縁することで,外的環境の制御・検討が可能であると考えられる. 一方で,小型化した評価試験機を用いてin-situでのX線回折測定を進め,格子面間隔の変化をとらえる.
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