2016 Fiscal Year Annual Research Report
固溶体のゆらぎを利用した鉄鋼材料の均一微細組織形成法
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16H04538
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| Research Institution | Ehime University |
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Principal Investigator |
小林 千悟 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (10304651)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 正人 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (40362660)
平岡 耕一 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (00199043)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 組織微細化 / ゆらぎ / 鉄鋼材料 / 高強度 / マルテンサイト / ベイナイト |
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| Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、以前より我々の研究グループにて解析を進めてきたチタン合金系における固溶体のゆらぎを利用したマルテンサイト組織生成促進効果の解明をさらに進めるとともに、0.09C-1.8Mn-0.28Si-0.35Mo鋼を用いて固溶体のゆらぎによるマルテンサイト組織形成促進に関する研究を進めた。さらに、本研究で組織解析する予定としている2鋼種0.1C-3.0Mn鋼ならびに0.1C-1.5Mn-3Cr鋼の作製を行った。
チタン合金系における固溶体のゆらぎを利用したマルテンサイト組織生成促進効果については、実験的に析出前駆段階においてα相を生成させようとする構造的な揺らぎがω相の生成を促進したことを示し、固溶体中に構造ゆらぎが存在することを示すとともに、結晶学的立場ならびにソフトモードと関連付けて理論的に説明した。また、0.09C-1.8Mn-0.28Si-0.35Mo鋼を用いて固溶体のゆらぎによるマルテンサイト組織形成促進に関する研究では、日本金属学会 第160回秋期講演大会にて、「低炭素鋼マルテンサイト形成に及ぼすα相析出前駆段階熱処理の影響」と題して講演を行い、γ粒内の濃度もしくは構造のゆらぎが生じる条件で熱処理すると、α'マルテンサイト変態組織の硬度が上昇し、α'マルテンサイト変態組織の微細化が生じた。これはγ→α相変態を生じさせようとするγ粒内の濃度もしくは構造のゆらぎが氷塩水焼入れ時のα'マルテンサイトの核生成を促進し、その結果マルテンサイト組織が微細化したことが推測された。さらに、0.1C-3.0Mn鋼ならびに0.1C-1.5Mn-3Cr鋼の作製を行い、電気抵抗ならびにNMR測定を実施する準備が完了した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度は、チタン合金や0.09C-1.8Mn-0.28Si-0.35Mo鋼を用いて固溶体のゆらぎによる組織微細化に関する研究を進めることができ、固溶体中のゆらぎの存在とその組織微細化への利用についての知見を得ることができた為、当初の目的は基本的に達成されているといえる。H28年度中に進める予定であった0.1C-3.0Mn鋼ならびに0.1C-1.5Mn-3Cr鋼における研究は、試料の作製が終了し等温変態曲線図を作成した段階であるが、H29年度にチタン合金や0.09C-1.8Mn-0.28Si-0.35Mo鋼の研究成果を元に0.1C-3.0Mn鋼ならびに0.1C-1.5Mn-3Cr鋼においても同様の研究を進めて行くことにより、研究計画全体としてはチタン合金や0.09C-1.8Mn-0.28Si-0.35Mo鋼の研究成果も加わるため、研究計画以上に進めて行っているといえる状態になるといえる。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究の方針は、チタン合金や0.09C-1.8Mn-0.28Si-0.35Mo鋼の研究成果を元に考えて、問題ないといえるため、0.1C-3.0Mn鋼ならびに0.1C-1.5Mn-3Cr鋼においても同様の研究を進めて行く。また、本研究予算により購入したTEMによるその場観察実験装置を用いて、さらに詳細な固溶体中の構造ゆらぎの解析を進めて行く予定である。
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