2017 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of radio wave absorbers and refractory materials for melting rare-earth containing steel by using lanthanum sulfides
Project/Area Number |
16H04542
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
平井 伸治 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (10208796)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 雰囲気パルスCVI / γ-Ce2S3 / β、γ混合相粉末 / 酸素富化 / 相制御 / 透過特性S21 / 反射特性S11 / 整合吸収型電波吸収体 |
Outline of Annual Research Achievements |
市販のγ-Ce2S3粉末(粒径:7μm)を雰囲気パルスCVIに供した。陰極の手前に出発原料を置き、両極間に電圧を印加すると同時に1473Kに加熱しながら、減圧(10秒間)、O2を微量含むAr-7%H2ガスの導入(2秒間)、その後の保持(10秒間)を1パルスとして75~250回繰り返した。さらに、得られた粉末を50wt%の割合でエポキシ樹脂に分散させた後、同軸管法による遠方界における電波吸収特性として、試料片面に金属ブロックを設置した場合はS11のみ、設置しなかった場合はS11とS21を評価した。なお、周波数域は高周波の0.5GHz~20GHzとした。 75~100パルスではβ、γ混合相、150パルス(加熱時間は3.6 ks)ではβ単相、250パルスではβ相の他に微量のCe2O2Sが生成した。単にAr-7%H2ガス雰囲気中にて連続的に3.6 ks加熱してもβ、γ混合相が生成し、β単相の生成には至らなかったため、雰囲気パルスCVIの効果が確認された。 電波吸収特性は、出発原料のγ単相及び30パルスの高酸素γ単相粉末を分散した場合のS11は-20dB、75パルスのβ、γ混合相粉末は-35dBの吸収特性を示した。100~250パルスの場合は、吸収特性を示さなかった。全ての試料でS21の吸収特性は見られなかった。γ-Ce2S3は半導体として知られ、γ-Ce2S3が残存する粉末を分散させた場合、誘導電流による電波の反射により、S11が高くなったものと考察した。 以上の結果より、雰囲気パルスCVI法で作製したβ、γ混合相のCe2S3は、CS2ガス硫化法で合成したβ単相のLa2S3粉末よりもS11に優れていたため整合吸収型電波吸収体としての可能性がある。それを確認するため試料片面に金属ブロックを設置し、S11を測定した。その結果、-20dBを超す実用レベルの電波吸収特性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CS2ガス硫化によるLa2S3粉末の合成は、予め673 K、3.6 ksの条件で煆焼したLa2O3粉末(粒径1ミクロン)を出発原料に用い、キャリアガスにArガスを用いたCS2ガス硫化法によりLa2S3を合成した。硫化温度を1023~1223K、硫化時間を14.4~28.8ks とすることにより所定の相のLa2S3粉末を合成した。得られた粉末に対し、XRD及び赤外線吸収法による酸素分析を行った。さらに、50 wt%の割合でエポキシ樹脂に分散させた後、同軸管法による遠方界における電波吸収特性として、試料片面に金属ブロックを設置した場合は反射特性S11のみ、設置しなかった場合は反射特性S11と透過特性S21を評価した。なお、周波数域は高周波の0.5GHz~20GHzとした。 CS2ガス硫化法で合成したLa2S3粉末を分散させた場合、酸素含有量が0.27~0.93wt%のβ単相粉末のS11は-15dB、なかでも酸素含有量0.23~0.33wt%のβ単相粉末の場合、誘電体の双極子モーメントによる影響によりS21も-10dBを示した。 以上の結果より、雰囲気パルスCVI法で作製したβ、γ混合相のCe2S3は、CS2ガス硫化法で合成したβ単相のLa2S3粉末よりもS11に優れ、整合吸収型電波吸収体としての可能性がある。それを確認するため試料片面に金属ブロックを設置し、S11を測定した。その結果、-20dBを超す実用レベルの電波吸収特性を確認した。次に、雰囲気パルスCVI法及びCS2ガス硫化法により合成したCe2S3粉末とLa2S3粉末のS11とS21の酸素含有量依存性をまとめた。酸素含有量が0.23~1.00wt%の範囲で増加するとS11は増加し、反対にS21は減少した。しかし、二つの作製方法において、同じ酸素含有量であっても相が異なるため、S11、S21の値も異なっていた。
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Strategy for Future Research Activity |
最初に、β,γ-La2S3粉末をLa2O3粉末のCS2ガス硫化により直接合成することを試みる。また、得られた粉末を分散させたPMMA樹脂の電波吸収特性を調べる。これまで、β-La2S3からγ-La2S3への相変態温度は1573±100 Kと報告されているが、相変態温度が酸素含有量により影響を受けるためCS2ガスによる硫化温度でも十分γ相が生成するものと考えた。 次に、Laと同様に安価なCe硫化物の誘電性電波吸収体と希土類含有鋼用耐火物としての特性を調査する。Ce2S3は斜方晶のα相から正方晶のβ相、さらに立方晶Th3P4型のγ相に相変態する。本研究では、市販のγ-Ce2S3粉末を分散させたPMMA樹脂成形体を用意し、その電波吸収特性に及ぼす粉末の粒径と樹脂成形体の厚さ依存性を調査する。 また、希土類は、溶鋼中酸素や硫黄との親和力が強く、取鍋精錬における脱酸剤や脱硫剤である他、介在物の形態制御に用いられ、シャルピー衝撃試験における上部棚吸収エネルギーを増加、すなわち高温における破壊靭性値を向上させることができる。この他、介在物の形態制御により鋼中への水素の侵入を抑えることができるため、原油中H2Sによるパイプライン用鋼管の水素割れを抑えるために希土類が添加される場合がある。しかし、希土類含有鋼を連続鋳造法により鋳造しようとすると、溶鋼中の硫黄と希土類が反応した希土類硫化物や希土類酸硫化物の介在物がアルミナ製ノズル内に付着し、結果的にノズルを閉塞してしまい、連続鋳造は困難とされてきた。そこで、Ce2S3の焼結体を作製し、ノズル用耐火材としての可能性を真空溶解炉を用いた溶解実験により評価する。製鋼現場で脱酸剤や添加剤に使用されてきたのは希土類元素毎の分離コストが省けるため比較的安価に製造できるミッシュメタルであるため、その主成分であるCeの硫化物について検討する。
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Research Products
(29 results)