2017 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度ナノフルイドの動的界面挙動に関するメゾスコピック解析
Project/Area Number |
16H04548
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚田 隆夫 東北大学, 工学研究科, 教授 (10171969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿尻 雅文 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (60182995)
小宮 敦樹 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (60371142)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノフルイド / コンタクトライン / 超臨界水熱合成 / 位相シフトエリプソメトリ / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,金属や金属酸化物等のナノ粒子を種々の溶媒に高濃度で分散したナノフルイドを対象とし,各種表面処理したSi基板上をナノフルイド液滴が移動する際のコンタクトライン(気/液(ナノフルイド)/固(基板)3相接触線)近傍のメニスカスの形状及びその動的挙動をその場観察と数値シミュレーションにより明らかにすることを目的とする。本年度は,以下の項目を実施した。 1. その場観察:前年度作製した位相シフトエリプソメータによる先行薄膜(ナノフルイド液滴のコンタクトライン前方に存在するナノ薄膜)の動的挙動のその場観察結果の再現性向上を目的として,Si基板の濡れ性の制御法を検討した。すなわち,Si基板の種々の表面処理(洗浄)法を検討するとともに,TOF-SIMSを用いて各Si基板表面の組成分析を行い,先行薄膜の挙動の再現性に及ぼす影響因子を抽出した。また,Si基板の濡れ性制御に関る最適処理法を示した。 2. 数値シミュレーション:溶媒蒸発を伴うナノフルイドの先行薄膜の動的挙動に関する数値シミュレーションに先立ち,ナノフルイド薄膜から溶媒が蒸発する際の薄膜内ナノ粒子の構造形成(凝集・分散状態)に関する数値シミュレーションを,離散要素法に基づいた液相三次元粒子運動シミュレータ(SNAP-L)を用いて実施した。具体的には,種々の有機分子を表面修飾した粒径の異なる(~25 nm)セリアナノ粒子を含む溶液を対象とし,溶媒蒸発時のナノ粒子の構造形成過程及び蒸発完了時のナノ粒子配列に及ぼす有機溶媒,修飾有機分子の種類,ナノ粒子の表面修飾率の影響を検討した。結果として,溶媒と修飾有機分子の親和性が高く溶媒中で表面修飾ナノ粒子が分散しやすい場合,溶媒蒸発完了時における粒子の配列は規則的になるが,その規則性の程度は表面修飾率によって異なることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
位相シフトエリプソメータによる先行薄膜の動的挙動のその場観察を実施する過程において,結果の再現性が低く,その原因究明及び再現性の向上法の探索に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度確立したSi基板の濡れ性制御法に基づき調整したSi基板を使用し,超臨界水熱合成法により合成した表面修飾ナノ粒子及び蒸気圧の異なる溶媒からなるナノフルイドの先行薄膜の動的挙動のその場観察を実施する。また,その場観察と同系・同条件における数値シミュレーションを行う。なお,申請時にはナノ粒子/高分子系も対象とすることを計画していたが,残された研究実施期間を考慮し,本研究ではナノ粒子/有機溶媒(低分子)系のみに集中する。なお,ナノ粒子/有機溶媒系だけでも本研究の目的は十分達成できるものと考える。
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Research Products
(4 results)