2017 Fiscal Year Annual Research Report
Application of multi-functional mixed-ionic liquid and supercritical CO2 systems for efficient biomass processing
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16H04549
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 善之 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50243598)
平賀 佑也 東北大学, 工学研究科, 学術研究員 (70757814)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イオン液体 / 物性測定 / 物性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,イオン液体-超臨界CO2システムによるバイオマス反応・分離プロセスにおいて,特にバイオマス可溶性イオン液体を含む混合イオン液体に関連する基礎物性の測定およびモデル化,gamma-Valerolactone(GVL)関連反応に関する検討を行った.また,極性評価を行う高圧装置設計を進めた. 物性測定の対象となる高バイオマス溶解度を有するイオン液体として,[emim][MP]を,高CO2溶解度を有するイオン液体として[emim][TCB]・[emim][Tf2N]をそれぞれ選定した.まず高圧密度に関しては,温度312-392 K,圧力200 MPa以下の条件にて,ベローズ法に基づく密度測定装置を用いることにより測定を行った.一方,本年度はH2溶解度の測定を行った.H2溶解度測定条件は温度313-353 K,圧力15 MPa以下とし,Synthetic法に基づく測定装置を用いた.[emim][MP]と比較して,混合イオン液体に対するH2溶解度は,[emim][TCB]あるいは[emim][Tf2N]添加につれて向上した.CO2を添加することによっても同様にH2溶解度の増進効果が見られたが,その程度は混合イオン液体の使用時が最高値を示した.いずれにおいても状態方程式epsilon*-modified Sanchez Lacombe状態式にて良好に相関が行えた. 反応に関する検討としては,エタノール溶液にイオン液体を添加した系においてGVL合成を行った.Levulinic acidを出発原料としてCO2を添加した系にて検討したところ,170 °C,8.5 MPa(CO2),3 hourの条件下において,GVLの収率は最大で97 %に達した.これはCO2未添加の条件下の結果と比較して明らかに向上した.分析に関する検討としては,高圧セルの設計を終え,納入を完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物性測定に関しては,特に高圧密度や高圧H2溶解度の測定およびそれらのモデル化の点において,部分的にではあるが次年度に進める予定だった項目(混合イオン液体を用いた際の無限希釈活量係数の測定ならびに状態方程式を用いた無限希釈分配係数の推算)にとりかかることができた.特にガス溶解度測定に関しては,CO2およびH2のそれぞれについて多くの実験データを蓄積できている.これらの物性関連の検討項目に関しては,一部の結果を既に国内・国際学会への発表あるいは論文投稿の形で成果としてまとめられていることから,当初の予定より順調であると考える.分析の項目に関しては,高圧セルの設計および納入は行えたものの健全性確認に遅れが出ており,反応の項目に関しても一部に遅れが出ていることから,これらを総合して概ね順調と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
物性測定に関しては,現状のままデータ蓄積ならびにそのモデル化を進めていきたいと考えている.平成30年度は特に無限希釈活量係数や無限希釈分配係数といった多成分系への拡張を行う予定である.分析の項目に関しては,紫外可視分光光度計ならびに高圧セルを用いた測定の健全性確認を早期に終えると共に,測定を迅速に行いたい.反応試験に関してはやや遅れが出ているため,優先順位を上げてさらなる進展を目指す.
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