2016 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子と液滴の気相堆積による色素増感太陽電池の光電極膜の高効率精密作製
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16H04553
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 学 広島大学, 工学研究院, 教授 (70178953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 優 広島大学, 工学研究院, 助教 (00633752)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 機能性複合薄膜 / 多孔体 / エアロゾル / プラズマ反応合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、色素増感太陽電池の電極用の色素担持酸化チタン多孔質膜の新しい作製方法として、膜の構成物質を粒子や液滴の形態で気相輸送・基板堆積させる手法を開発し、作成膜を用いた電池の性能評価等をつうじて、望ましい膜の性状および作製条件を提示することを目的とする研究を行った。本年度の研究成果の概要は、以下のとおりである。 1.エアロゾル粒子合成装置と粒子堆積チャンバーで構成される、光電極用酸化チタン多孔質膜成膜システムを製作した。粒子合成装置は、チタンの有機化合物の蒸気をプラズマ反応させて酸化チタンのエアロゾルナノ粒子が生成されるように設計・製作した。エアロゾル粒子を基板上に輸送・気相堆積させて成膜するチャンバーに対しては、導電性透明基板(光電極のベース基板)が設置でき、さらに基板周りの温度や電場を変えられるようにするとともに、2つのエアロゾル流を合流して基板へ導けるように流路を取り付けた。 2.合成する酸化チタン粒子の性状やチャンバーにおける堆積条件を変化させて、ベース基板上に多孔質膜を作製し、電子顕微鏡による形態観察によって、膜の表面・内部構造を評価した。この結果にもとづいて、必要な厚みと均一構造を有する膜を得るための標準的な条件を見出すことができた。 3.次年度以降の電池性能評価実験のための予備実験を行った。2で作製した多孔質膜を焼成して構造、結晶相に及ぼす焼成条件の影響評価を行った。別途既存法で作製した多孔質膜に色素溶液を含浸・乾燥させて色素を膜に定着させ、これと電解液、対極を組み合わせて電池ユニットを形成した。さらに、ソーラーシミュレータとソースメーター等を用いて電池ユニットへの光照射と電池の電流-電圧特性測定を行う系を構築した。ここで形成した電池ユニットを用いた検討によって、この系で電池性能を評価するために必要な調整が行えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗に関して、実施者が最も懸念していたことは、色素増感太陽電池の電極となり得る構造と厚みの多孔質酸化チタン膜を、既存の作製方法とはまったく異なる、エアロゾルナノ粒子の気相輸送・堆積という新しい方法で作製可能なのかどうかであった。この点に対して、3年間の研究期間の初年度内で目処が立ったことから、進展は順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に、当初の研究計画に沿って遂行することとする。すなわち、膜の作製条件が構造や組成等の膜性状に及ぼす影響を詳細に調べ、さらに膜性状と電池性能との関係を整理することで、本作製方法において膜性状、電池性能を支配する因子を明確にしていきたい。
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Research Products
(9 results)