2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of ionic liquid based aqueous two-phase extraction
Project/Area Number |
16H04556
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松本 道明 同志社大学, 理工学部, 教授 (10157381)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 反応・分離工学 / イオン液体 / 水性2相 / 抽出 / 液膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
水性2相系における液-液抽出は上相および下相の含水率が高く、環境に低負荷の物質で構成されるとともに、穏和な条件下で抽出できる利点を持ち、タンパク質のような生体物質の分離やバイオ医薬品の回収など幅広い分野で利用されている。従来の水性2相系の一般的な構成成分はポリマー/塩またはポリマー/ポリマー系である。しかしこれらの系では目的物を抽出した後に、ポリマーからそれらを分離する必要がある。そこで本研究では、イオン液体を溶媒として利用する水性2相系に着目した。さらに最近、新たなイオン液体類似体として、融点降下溶媒(DES)が注目されている。DESは四級アンモニウム塩である水素結合受容体と水素結合供与体からなる共晶混合物であり、DESは、非常に容易な合成プロセス、低毒性そして低コストという、従来のイオン液体の欠点を補完する特徴を持つことから、今後の溶媒としての利用が期待される。本研究では、まず従来のイオン液体であるイミダゾリウム系イオン液体と新規溶媒であるDESを用いた水性2相系によるタンパク質の抽出について検討した。 塩濃度が増加すると、抽出率および上相の含水率が減少する結果となった。このことからタンパク質の抽出には、タンパク質が水和水と共に上相に分配されるという共抽出作用の存在が確認できた。最大の抽出率は83.5 %となった。バイノーダル曲線や相挙動から、イミダゾリウム型イオン液体はDESと比較して2相形成能力が高いが、抽出能力は若干小さかった。以上イオン液体系水性2相がタンパク質抽出に利用できることがわかった。 さらに再生利用可能なプロトン性イオン液体を用いた有機酸の水性2相抽出も検討し、相図や有機酸の分配挙動に及ぼす諸条件の影響を検討した。その結果乳酸抽出には、ピロリジン/プロピオン酸からなるプロトン性イオン液体が最適であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン液体を利用した水性2相系は多く報告されているが、高価である欠点があった。ここでは簡単に安価な原料から合成できるプロトン性イオン液体やDESがタンパク質や有機酸などの分離に有効であることを見出している。プロトン性イオン液体の沸点測定が予想外に難しく、多くのプロトン性イオン液体で測定できなかった。今後は装置を改良し、より多くの回収可能なイオン液体の沸点を測定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの新規の再生可能なイオン液体を用いた水性2相抽出系を実際の発酵生産された乳酸の分離に応用する。具体的には栄養要求が単純なRhizopusを用いて、乳酸発酵を行うと同時に、水性2相抽出を行って乳酸をその場で分離するプロセスの確立を行う.またタンパク質の分離に関しては種々のタンパク抽出を通して、タンパク質の性質と水性2相系の特性との関係を検討する予定である。
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