2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanistic study of adhesion and uptake of particles onto/into macrophages
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16H04557
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
新戸 浩幸 福岡大学, 工学部, 教授 (80324656)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生体ソフト界面 / タンパク質コロナ / 相互作用 / 大食細胞 / 粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、我々は培養細胞に対する微粒子の曝露方法を工夫した上で、導入したフローサイトメーター(FCM)を駆使して解析することによって、「細胞表面への微粒子の付着量を単一細胞レベルで評価するFCM技術」を開発した。その際、小さなサイズの蛍光粒子(粒子径100 nm)を用いたため、FCMでは粒子1個1個を識別できず、細胞の自家蛍光値を差し引いた細胞1個あたりの蛍光強度値、すわなち「付着量に比例する値」しか得ることができなかった。今年度は、我々のFCM技術を単一粒子レベルの分解能にまで到達させることなどを目指した。主に得られた研究成果は、以下の通りである。
(1) 種々の蛍光粒子(粒子径: 200, 300, 500, 1000 nm; 粒子材質: ポリスチレン, シリカ)に対して、単一粒子レベルのFCM解析を試みた結果、粒子径が300 nm以上であれば可能であること、媒体である水との屈折率の差が大きいポリスチレン粒子の方が容易であることがわかった。
(2) 粒子径1000 nmのカルボキシル修飾ポリスチレン(PS-COOH)粒子、粒子表面を被覆するためのタンパク質(ウシ血清アルブミン (Ab), 免疫グロブリンG (IgG), フィブロネクチン (Fn))、マクロファージ様細胞株(J774.1)を用いて実験をおこなった結果、異なる表面被覆物質をもつPS-COOH粒子のJ774.1細胞表面への付着数は、Fn > IgG > 無被覆 > Ab の順に大きかった。この結果は、粒子径6000 nmのPS-COOH粒子を用いてコロイドプローブ原子間力顕微鏡(AFM)によって得られた付着力に対する粒子の表面被覆物質の序列と一致した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粒子径300 nm以上の蛍光粒子に対して、「細胞表面への微粒子の付着数」を単一細胞・単一粒子レベルで効率的に評価できるFCM技術を確立した。このFCM技術から得られる「微粒子の付着数」は、コロイドプローブAFM技術から得られる「細胞表面への微粒子の付着力」と非常に良い相関関係を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度まで研究成果によって、マクロファージ様細胞への微粒子の付着現象は、粒子の被覆タンパク層の種類に大きく影響されることがわかった。今後は、以下の実験(1)~(3)により、粒子表面の被覆タンパク層の種類がマクロファージ様細胞への微粒子の付着・取込の「力」、「個数」、「速度」、「メカニズム」に対して、どのように影響するのかを明らかにする。
(1) マクロファージ様細胞への蛍光PS-COOH粒子(粒子径1000 nm)の取込数の経時変化とそれに及ぼす被覆タンパク層の影響を、FCM解析する。 (2) 培養装置、光ピンセット、高速・高感度カメラなどが付加された共焦点レーザー走査型顕微鏡システムを用いて、ライブイメージングを行う。ここでは、細胞膜や細胞小器官の蛍光染色剤などを併用し、付着・取込プロセスとそれに及ぼす被覆タンパク層の影響を単一粒子・単一細胞レベルで検討する。 (3) 付着・取込後の細胞表面を詳細に観察するため、固定化処理などを行った細胞試料について、走査型電子顕微鏡による観察を行う。
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Research Products
(7 results)