2017 Fiscal Year Annual Research Report
Process development by using the optimization of inclusion and crystallization of fulleren
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16H04561
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
草壁 克己 崇城大学, 工学部, 教授 (30153274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻木 美菜 (水谷美菜) 崇城大学, 工学部, 助教 (90646829)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シクロデキストリン / 多孔質有機結晶 / 両親媒性ナノ孔 / 金属有機構造体 / 蛍光特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
シクロデキストリン系金属有機構造体(CD-MOF)は、結晶内に親水性と疎水性の表面を持つナノ空間からなる両親媒性多孔質ナノ結晶であることを明らかにした。これまでに疎水性分子の包接と同時に結晶化を行う同時包接結晶化法と小分子については吸着法によって機能性分子や薬剤をCD-MOF結晶のナノ空間に導入することに成功した。結晶内に形成されるナノチャネルは最狭部のサイズが0.8nmであり、このサイズより大きな分子の導入方法を確立する必要がある。ここでは疎水性で電子ドナーとして働くフラーレンC60および親水性で電子アクセプターとして働く水溶性ポルフィリンTCPPのCD-MOF結晶内への導入法と同時導入法について検討し、さらに導入後の複合材料の蛍光特性を測定した。水に不溶なC60については、始めに機械的粉砕と超音波処理を組み合わせた方法でγ-シクロデキストリン(γ-CD)2分子とC601分子からなる包接化合物を調製し、これを原料として結晶化することでC60を導入したCD-MOF(C60/CD-MOF)を作成した。TCPPについては同時包接結晶化法でTCPPを親水性ナノ孔に導入したCD-MOF(TCPP/CD-MOF)を作成した。また、両手法を組み合わせて両分子を導入したC60/TCPP/CD-MOFの作製に成功した。C60粉末単独では蛍光は見られないが、C60をCD-MOFの疎水性ナノ孔に高密度、高分散状態で孤立化することにより蛍光を発することがわかった。同様にTCPP/CD-MOFについても濃度消光の影響がなく強い蛍光を発した。しかしながらC60/TCPP/CD-MOFでは光励起後にC60からTCPPへの電子移動が起こるために蛍光強度が減少することから、両分子はナノオーダーで近接して存在していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画ではシクロデキストリン金属有機構造体(CD-MOF)の結晶性が良好であることから、分子サイズが異なるフラーレンC60とC70の混合溶液を用いて包接と結晶化を同時に行うと、C60のみが選択的に結晶化が進行することで、C60とC70の精密分離ができると実験を重ねたが、C60およびC70共に、同様に結晶化が進み、分離ができないことが分かった。C60/CD-MOFの結晶化による蛍光材料化については当初の計画通りの成果が見られており、さらに親水性のポルフィリンのCD-MOFへの導入にも成功しており、機能性の異なる2種類の分子を一つの多孔質材料に、ナノオーダーで近接させて導入したのは世界でも例のない結果であり、この結果をベースに電子デバイスや光デバイスへの展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績概要以外にも親水性の2種の蛍光分子を導入することでFRETを観測することにも成功している。C60/CD-MOFについては可視光に透明な材料であるCD-MOFの特性とC60のすぐれた一重項酸素発生能を利用した腫瘍の光線力学療法への展開を図るために一重項酸素能を評価する。さらにポルフィリンは金属との錯体を形成することで触媒として作用することから、ポルフィリンコバルト錯体を用いたカップリング反応を試み、CD-MOF固定化による触媒回収再生について検討する。また、親水性から疎水性にわたる種々の薬剤をCD-MOF内に導入できる。結晶内での薬剤の拡散速度が小さいことを利用した薬剤徐放の研究に取り組む。
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Research Products
(13 results)