2018 Fiscal Year Annual Research Report
Stabilization effects on labile chemical species by confinement in the zeolite's nanopores and its application to novel organic reactions
Project/Area Number |
16H04562
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (10144122)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NaYゼオライト / AgYゼオライト / ジフェニルケテン / HSAB理論 / ソフトな金属イオン / ハードな金属イオン / ソフトな塩基部位 / ハードな塩基部位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はゼオライト細孔空間で不安定な化学種が,ゼオライト細孔面に位置する金属イオンの種類に応じて,どのような挙動を示すか明らかにすることを目指した. この研究では不安定な化学種として,累積二重結合(カルボニル基と炭素ー炭素二重結合が連結した結合)をもち,加水分解されやすく不安定なジフェニルケテン分子(Ph2C=C=O)をプローブ分子として選び,NMRで観測しやすいように累積二重結合部位の2つの炭素原子が全て13Cで構成された分子を13CO2を原料にして合成した.この分子が,ハードなナトリウムイオンまたはソフトな銀イオンに交換したゼオライトY(NaYまたはAgY)細孔内へ吸着した際に,どのような吸着形態をとるかを,13C固体DDおよびCP/MASNMR法を用いて観測した.次に観測したNMRスペクトルの帰属には,Gaussian16を用いた量子化学計算法で得られた熱力学的データおよびNMR化学シフト計算値を用いて配位形態を決定した.その結果,NaYゼオライトの細孔内ナトリウムイオンに対しては,カルボニル酸素がモノハプトで配位した形態とベンゼン環がヘキサハプト配位した形態が優勢であること,銀イオンに対しては,炭素ー炭素二重結合部位がジハプト配位した形とベンゼン環がジハプト配位した形が優勢なことを見いだした.この結果は,HSAB理論に良く対応し,ハードなナトリウムイオンに対しては,ジフェニルケテンのハードな塩基部位のカルボニル基が,ソフトな銀イオンには,ソフトな塩基部位の炭素ー炭素二重結合が有利に相互作用すると合理的に解釈される.また,ゼオライト吸着ジフェニルケテンのCP/MASNMRスペクトルがDD/MASNMRスペクトルよりも強度が高かったことから,ナトリウムイオンや銀イオンへ吸着したジフェニルケテンの分子運動挙動がかなり抑制されていることも明らかになった.
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)