2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子の位置制御による高機能ゼオライト触媒の創製
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16H04566
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横井 俊之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00401125)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゼオライト |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度においてヘテロ原子としてAl原子に着目し、Pore-filling agent を用いたZSM-5ゼオライトの骨格内Al原子の分布制御に取組んだ。Pore-filling agent として、構造の異なるアルコール、Tetrapropylammonium (TPA)、Pentaerythritol (PET)、Trimethylolethane (TME)、Tert-Butanol (TBO) 、1,3-Propanediol (1,3-PDO)を用い、ZSM-5の合成を行った。また、有機分子を用いずに、すなわちOSDAフリー条件でZSM-5を合成した。 合成したサンプルに対し、Hexaneと3-Methylpentaneの接触分解を行い、それぞれの分解速度の比に基づく「Constraint Index (CI)値(= kHX/k3MP)」を算出した。3-MPの二分子反応による分解はかさ高い遷移状態を経由するため、狭いチャネル内では立体的規制を受ける。従って、広いインターセクションに存在する酸点の割合が高いほど、一分子反応に比べて活性化エネルギーが小さな二分子反応がより進行すると考えられる。つまり、反応場が空間的に狭いときにはCI値は高くなる。CI値の序列は、[TME+Na]、[TBO+Na]、[PET+Na]、[Na]、[PDO+Na]、[TPA+Na]となり、アルコールの種類によりAl位置を制御できることが分かった。 Methanol to Olefins(MTO)を実施し、Al位置がMTO反応活性に及ぼす影響を検討したところ触媒寿命とCI値の序列が一致していることが分かり、MTO反応では空間的に狭いところにAlを配置することで長寿命化することができることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MFI骨格におけるAl原子の分布制御に関しては、アルコール分子をPore-filling agentとして用いる手法を見出すことができ、ほぼ計画通り研究を遂行することができたと考えている。加えて、MWW型、RTH型、CON型ゼオライトでのAl原子の位置制御に関しても年度後半より研究を開始しており、特に、CON型のAl原子分布制御についてもポスト合成法による制御手法を見出すことができた。これらはH29年度にかけて実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
アルコール分子を用いるAl原子の分布制御手法では得られるZSM-5の粒子径が大きくなる傾向にあり、触媒性能、特に触媒寿命に悪い影響をもたらす。そこで、アルコール分子を用いるZSM-5のナノサイズ化の検討を行う。また、ヘテロ原子としてTiに着目し、分布制御手法の開発に取組む予定である。調製した触媒の活性評価も随時実施する。骨格構造、ヘテロ原子の種類、ヘテロ原子の分布制御、触媒性能を系統的に検討していく。
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