2017 Fiscal Year Annual Research Report
超音速飛翔体上の非定常圧力変動を捉える革新的分子イメージング技術の開発
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16H04583
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
沼田 大樹 東海大学, 工学部, 講師 (20551534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 圭介 東北大学, 工学研究科, 教授 (40358669)
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, その他 (80536748)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 感圧塗料 / バリスティックレンジ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、感圧塗料(PSP)技術を用いて超音速で飛翔する物体上の非定常圧力場計測を実現するという、未踏の技術課題の達成を目指すものである。また、本技術を用いることで、自由飛行状態にある超音速飛翔体の空力特性を定量的に計測可能とするための技術基盤の確立を目指す。これら目標の達成を目指し、本研究は超音速飛翔体や超音速伝播する圧力波を定量的に可視化計測可能な超高速応答型複合感圧塗料の開発、及び同一物体から放出された蛍光を異なる二つの波長に分けて同一素子内に別々の像として結像することが可能な二分岐光学系の開発を行う。それらの開発成果を用いて超音速飛翔体上の非定常圧力分布の定量計測を行い本技術の有用性を実証し、最終的には従来までのバリスティックレンジ実験に対し、影写真法等の定性的な光学可視化手法に代わる新たな定量時系列計測手法としての本技術の提案を行う。 本年度は、開発目標の一つであった、任意に選択した二つの波長からなる像を撮像カメラの有する一つの撮像素子の上に別々のイメージとして結像することが可能となる「二分岐光学系」の開発が完了した。本光学系の運用に関する課題点や問題点の抽出も進み、解決すべき課題の整理もおおむね完了した。 圧力場の計測に用いる感圧塗料については、二分岐光学系を用いた短時間計測(露光時間:数マイクロ秒)の場合においてもその蛍光を検出可能な超高速応答型複合感圧塗料の開発が進んだ。特に、特定の条件下で作成された試験片が二色化の際に高い圧力感度・発光強度を両立する可能性を見出した。 実証試験の観点からは、上述した計測系および感圧塗料を用いることで、飛翔する物体上の蛍光検出を短時間露光下において成功させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点においては、当初の目的としていた二分岐光学系が運用面においても問題なく機能することを確認でき、かつデータ解析法についてもある程度のノウハウが蓄積できている。そのため、計測系に関しては、当初計画した想定通りに進んでいると考えている。 また、感圧塗料についても、開発した幾つかのパターンの複合感圧塗料の中から実証試験に供することが可能な程度の機能を有するものを見出すことに成功し、また今後の機能強化のための指針も得ることが出来た。実際にバリスティックレンジを用いて感圧塗料を適用して飛翔体を超音速で射出し実証試験を行い、蛍光検出も可能であることを見いだせたため、実証分野においても本年度までの目標はおおむね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、平成29年度に見出した課題点の解消と、実証試験を中心に研究を推進する予定である。 光学系運用に関しては、データ解析法も含めある程度のノウハウも蓄積できたが、試験条件によっては光学系特有の問題によって蛍光検出が困難になる等の課題点も見出したため、それらの解消をハード面及びソフト面で解消することを目指した取り組みを行う計画である。 また、感圧塗料については、先に述べたように複合感圧塗料の高機能化の指針が得られたため、それらを参考にしたうえで、現状達成できた複合感圧塗料の特性をさらに向上させる取り組みを行う。また、改良された複合感圧塗料を用いてより実際的な模型に対する実証試験を行い、結果を既存の風洞やバリスティックレンジ試験の結果と比較することにより、本計測手法の妥当性を実験的に明らかとする予定である。
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