2017 Fiscal Year Annual Research Report
Guidance and control law for recovering aircraft fromstall condition using stochastic optimal control theory
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16H04588
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
上野 誠也 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60203460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 丈浩 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (20403652)
宮路 幸二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60313467)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 飛行力学 / 数値流体力学 / 失速回復 / 確率最適制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
①誘導制御系設計手法の開発:前年度に開発されたLOC-Iシミュレータを3次元運動が表現できるように改築を行った。使用したデータは文献に掲載されF-18の失速以降を含む空力モデルである。失速以降の空力データで特に三次元運動に関するデータで入手できるものが限られているので、前年度と同じ文献に記載されたデータを使用した。前年度と同様に非モデル制御を行うために、現状のパイロット訓練を基本とした制御系設計を行った。失速後の三次元運動に特有のスピン状態に入れ、その後に構築した非モデル制御を行い、高度損失の低減を達成した。数値例では、非制御状態の高度損失が約10000[m]に対して、約3000[m]に抑えられることができた。一方、確率最適制御の研究成果は、連続関数の確率密度関数を離散モデルに置き換える妥当性を確認した。その結果、正規分布の確率密度関数は標準偏差を用いた2モデルで置き換えるとほぼ同等の最適解が求められることが、様々な分布で確認された。この成果は計算量の低減に大きな効果を及ぼすものである。 ②空力モデルの構築:実験で使用する近似空力モデルの構築に着手した。今年度後半からモデル化を始めた。 ③模型飛行実験の実施:平成28年度に入手した模型飛行機を用いた飛行技術の習得を開始し、飛行試験の準備を始めた。飛行試験を行うためには、地上で操作するパイロットの技量が必要となる。目的とする高度・位置で失速を発生し、その後回復を行う自動制御へ切替る。初期条件の設定にはパイロットの技量に依存することになる。今年度は、近隣の飛行試験場を使用して、定常飛行から失速状態への投入までの準備試験を行った。同時に、地上からのモニタ、ドローンを用いたモニタを行い、分解能などの確認を行った。本研究では、撮影された画像から模型飛行機の姿勢を推定することを行う。そのための画像処理精度の確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①誘導制御系設計手法の開発:公開されているデータを用いて三次元LOC-Iシミュレータを構築し、当初の目的通りに現状のパイロット訓練から導いた制御則の実施ができた。前年度に垂直面内の非モデル制御、今年度は三次元非モデル制御を設計し、損失高度の低減を確認できた点は大きな成果である。さらに、確率最適制御の適用に関しても、離散モデルの設計方法を構築できた点も大きな成果である。従って、当初の計画通りの成果を達成した。 ②空力モデルの構築:今年度は大きな成果を計画していないために、十分な進捗であった。失速後の近似モデルの構築に関して、若干の遅れが認められるが、研究計画全体への影響は少ないと判断できる。 ③模型飛行実験の実施:飛行試験に向けた準備試験を実施するなど進捗が確認できる。飛行状態のモニタシステムの開発も順調であり、解析に用いるデータも準備試験で取得できた。飛行状態の解析に当たり、新たなソフトウエアの使用を検討しており、平成30年度当初に入手する準備も行った。飛行試験そのものはすぐにでも実施できる体制が完成し、十分な進展がみられる。
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Strategy for Future Research Activity |
①誘導制御系設計手法の開発:現状のパイロット訓練をベースに設計した非モデル制御は三次元運動を含めて順調な成果を挙げたので、確率最適制御による回復操作の解を求める研究を進める。離散モデルの構築に関する成果が得られているので、その成果を活かした確率最適制御を試みる。その最適解から再度非モデル制御則を見直し、誘導制御則の設計の最終成果とする。大幅な計画変更は必要ないと判断した。 ②空力モデルの構築:飛行試験に用いる機体に対する近似空力モデルの構築を進める。得られた近似モデルを、①のLOC-Iシミュレータに搭載し、非モデル制御の妥当性確認に用いる。特に、研究計画の内容や時間的配分に大きな変更は必要ないと考えられる。 ③模型飛行実験の実施:失速を起こす固定翼機とそれをモニタする回転翼機の誘導制御系が確認でき、飛行試験の準備が完成した。平成30年度の本試験に臨む方針に変更はなく、取得したデータ解析手法の構築を計画している。
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