2016 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド半導体を用いたパッシブな宇宙用電子放出源の実現可能性評価
Project/Area Number |
16H04595
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
大川 恭志 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (20415920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 宙光 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 先進パワーエレクトロニクス研究センター, 主任研究員 (00415655)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 宇宙推進 / スペースデブリ / エレクトロダイナミックテザー / 電子放出 / ダイヤモンド半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
スペースデブリ(宇宙ゴミ)を除去するための宇宙推進装置の候補としてエレクトロダイナミックテザー(EDT)がある。EDTにはテザーに電流を流すための電子放出源が必要であり、本研究は、電子放出源パッシブ化の実現可能性を示すことを目的としている。これにより、より簡素で低コストなデブリ除去システムの構築に貢献する。 上記の目的達成に向けた3年計画の初年度の活動として、ダイヤモンド半導体の特性評価等に関して主に以下の作業を実施した。1)電子放出試験等に使用するダイヤモンド半導体サンプルの試作、2)各試験の実施に向けた試験治具の設計と製作、3)真空チャンバ中での熱電子放出および電界電子放出試験の実施、4)光電子放出特性のデータ分析と評価、5)ダイオード電子放出特性のデータ分析と評価、6)熱光学特性(太陽光吸収率と赤外放射率)のデータ分析と評価、7)原子状酸素照射試験の実施、8)ダイヤモンド半導体を利用したEDTシステムの初期検討。 上記作業の結果として得られた主な知見/成果は以下の通り。A)熱電子放出および電界電子放出試験に適したダイヤモンド半導体サンプル製作ノウハウの蓄積、B)ダイヤモンド半導体からの上記の各種電子放出特性の取得、C)地球周回軌道上の熱光学環境におけるダイヤモンド半導体の温度平衡特性の取得、D)地球周回軌道上の原子状酸素環境に対するダイヤモンド半導体の耐性の取得。 上記の成果を受けて、次年度は、各種電子放出特性や耐宇宙環境特性の取得およびサンプルの改良試作を継続実施した上で、宇宙用の電子放出源を想定したスケールモデルの設計と試作等を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験実施回数がやや少なかったものの、ほぼ当初計画通りの作業を行い、必要なデータを取得・評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに研究を進める。 再現性確認等のための特性評価追試験を実施しつつ、ダイヤモンド半導体試料の改良試作、耐宇宙環境性評価試験等を行い、電子放出源スケールモデルの試作につなげる。原子状酸素耐性については現時点では十分な特性が確認できていないため、計画調書にも記載したアプローチ(材料の改良あるいはシステムレベルでのリカバリ)で対策を進める。
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