2016 Fiscal Year Annual Research Report
3次元磁場効果によるプラズマ放射冷却の促進とダイバータ熱負荷軽減
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16H04622
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
小林 政弘 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (30399307)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プラズマ核融合 / 磁力線構造 / 不純物発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元周辺分光計測器の整備と増強を行い、視野の拡大と波長分解能の向上が行われた。代表的な回折格子について絶対感度較正および装置関数幅の測定を行い、平成29年2月から開始されるLHD実験に備えた。実験では、1~3荷の炭素イオンおよびメタンからの発光分布について、プラズマの密度および加熱パワーの違う放電に対して系統的にデータ収集を行った。メタンは炭素の化学スパッタリングによる発生量を現す指標である。また、真空紫外分光、ボロメータ、ダイバータプローブによる計測も実施した。これにより、以下の結果を得ている。 1.炭素の発生源の指標となる1荷のイオンおよびメタンの発光は、ダイバータ板に近い領域で発光している。プラズマの密度、加熱パワーを変えてもその位置はほとんど動かない。 2.炭素の2、3荷のイオンは、プラズマ密度の上昇とともに発光量が増加し、また空間的にも閉じ込め領域に近い方向に移動する。特に、3荷のイオンについては、密度の上昇に対して不連続に変化する。これは、トムソン散乱計測で得られた周辺部の電子温度分布の変化と対応しおり、磁力線構造との関係が示唆される。現在、磁力線追跡コードとの比較を進めている。 3.プラズマの燃料粒子が重水素の場合、軽水素に比べて系統的に炭素不純物の発行量が大きいことが確認された。これは重水素による炭素の物理スパッタリングが増加していることに起因すると考えられる。 4.ネオン、クリプトンの不純物を導入した実験によると、発光の分布は各不純物の電離電圧のみに依存し、不純物種には依存しない傾向にあることがわかった。また、ダイバータプローブによる計測から、不純物の発光増加に伴い、粒子負荷が減少する結果が得られた。 以上の結果は、3次元的な周辺磁場構造と不純物の発光分布の関係を知る上で重要な成果であり、今後、磁力線構造との比較を行うことにより、より詳細な知見が得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
周辺分光計測、真空紫外分光、ボロメータ、ダイバータプローブについては予定通り増強と整備を終えて、平成29年2月からの実験でデータ収集を行っている。当初予定されていた光学フィルタを用いたCCDカメラによる計測は、現状の分光計測があれば必ずしも必要がないと考えられるため、実施していない。 赤外線(IR)カメラによるダイバータ熱負荷計測は遅れている。LHDの重水素実験開始にともない、規則により既存のIRカメラが取り外されたことによる。現在、違う観測ポートでの計測を開始するべく、光学系の設計を始めている。次回のLHD実験(平成30年秋に予定)からは計測を開始する予定。それまでは、IRカメラの代わりに、ダイバータプローブによって計測されたプラズマ温度・密度から熱負荷を評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、周辺部の発光分布計測を続ける。LHD実験は平成29年度8月初旬まで行われる。今年度の5月以降はLHDの磁場構造を大きく変化させた実験が行われるため、発光分布との関係を調査することができる。また、得られたスペクトルからドップラーシフト、ドップラー広がりを解析し、不純物の流速および温度を評価する。これら得られた実験データと、磁力線追跡コードによる磁場構造との比較を行う。また、トムソン散乱計測から得られた電子温度とも比較することにより、不純物の各荷数の存在領域を推測する。 今年度新たに導入予定の広波長領域を高波長分解で測定できる分光器を用いて計測を行い、衝突輻射モデルによる解析により炭素の発光領域における電子温度を評価する予定である。これとトムソン散乱計測との比較から、発光と電子温度、磁力線構造との関係を詳しく調べる。 赤外線カメラについては、現在新たな視野で光学設計を進めており、平成30年度の実験から導入を予定している。 平成30年度の初期を目標として、3次元数値シミュレーションを開始し、実験結果との比較を行う。これにより、現行の輸送モデルの検証を行う。
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[Journal Article] Enhancement of helium exhaust by resonant magnetic perturbation fields at LHD and TEXTOR2016
Author(s)
O. Schmitz, K. Ida, M. Kobayashi, A. Bader, S. Brezinsek, T.E. Evans, H. Funaba, M. Goto, O. Mitarai, T. Morisaki, G. Motojima, Y. Nakamura, Y. Narushima, D. Nicolai, U. Samm, H. Tanaka, H. Yamada, M. Yoshinuma, Y. Xu and the TEXTOR and LHD Experiment Group
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Journal Title
Nuclear Fusion
Volume: 56
Pages: 106011-1,17
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] "Effects of 3D edge magnetic field structure of the stochastic field on the divertor transport in LHD2017
Author(s)
M. Kobayashi, S. Morita, T. Oishi, K. Ida, K. Itoh, Y. Feng, Z.Y. Cui, S. Dai, G. Kawamura, O. Schmitz, A. Bader, and the LHD experiment group
Organizer
18th IEA International RFP Workshop
Place of Presentation
繊維工芸大学、京都市
Year and Date
2017-03-27 – 2017-03-29
Int'l Joint Research
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