2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドゥン・ダメージの可視化技術開発:大規模地震を経験した機器の健全性評価の為に
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16H04626
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 豊 東北大学, 工学研究科, 教授 (10260415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 陽一 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40374970)
阿部 博志 東北大学, 工学研究科, 助教 (30540695)
宮崎 孝道 東北大学, 工学研究科, 技術一般職員 (20422090)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 塑性ひずみ / 可視化 / 疲労損傷 / 非破壊検査 / エッチング / 応力腐食割れ |
Outline of Annual Research Achievements |
『溶解速度の結晶方位依存性が極大になる条件の下でエッチングを施すことにより、塑性繰り返しに伴う結晶内の不規則さの増大を感度良く可視化する』ことを基本原理として、手法開発を進めた。1N硝酸・電位-600mVSCEにおける定電位エッチングにより、316系ステンレス鋼の塑性ひずみの蓄積が感度良く検出できることを既に見いだしており(特許第5495033号「ステンレス鋼の塑性ひずみの検出方法」)、この手法をベースとした。損傷検出の感度はエッチング時の溶解速度の結晶方位依存性の強さに依存していることから、電位規制下でのシステマティックな探索結果に基づいて溶解速度の結晶方位依存性が最大になる電位条件を特定した。 316系ステンレス鋼に種々の負荷条件下で塑性ひずみを与えた試料に対して、定電位エッチングを施した結果に基づいて、最大ひずみ、ひずみ付与温度などのパラメータが塑性予ひずみ可視化に及ぼす影響を明らかにした。例えば、塑性変形へのすべりと双晶変形の寄与割合はとくに温度に強く依存して変化し、ひずみ付与温度が室温から100℃まで上昇すると変形双晶の優先溶解に対応するエッチング痕は急減するのに対して、すべり線のエッチングに対応する微細なエッチング痕が急増する。このすべり線エッチング痕の数密度についても塑性予ひずみとの一対一の対応関係があった。 種々の予ひずみを与えられた316系ステンレス鋼試料について、288℃高温高圧水中でのすきま付き定ひずみ曲げ試験結果に基づいて応力腐食割れ感受性の増大傾向を評価した。顕著な加工硬化が伴うほどの塑性ひずみを与えられた場合には割れ感受性が明確に上昇するが、本研究で検出感度のターゲットとしている比較的軽微な塑性ひずみ領域においては割れ感受性の増大は認められないことが確認された。 本手法の実機適用技術について模擬的な検討を行い、現場計測手順を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた要所の成果が得られている。鋼種依存性の検討が計画よりも遅れているが、高温水中応力腐食割れ感受性評価を前倒しで開始し、また、実機適用性の検討が計画より進んでおり、全体としては順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
全体としては当初計画通りに推進する。ただし、316系ステンレス鋼を代表鋼種として最適化されたエッチング条件を他のオーステナイト系ステンレス鋼にも適用できると当初は考えていたが、鋼種ごとに最適条件が異なる可能性がある。29年度以降は、このことを念頭に検出技術開発を進める。
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