2017 Fiscal Year Annual Research Report
放射性核種移行挙動に対する微生物影響因子の分子科学的研究
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16H04634
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宇都宮 聡 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40452792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 敏彦 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20354904)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 糖分子 / コロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
EPSはタンパク質、多糖類、核酸、無機イオンから構成され、本研究はEPSの各吸着成分による凝集抑制機構の解明を目標として、糖・リン酸の吸着によるナノ粒子凝集挙動への影響を明らかにすることを目的とした。実験は0.12 mMに調整した四種類の糖、D-glucose(分子量180)、D-maltose(342)、stachyose(667)、α-cyclodextrin(973)、0.16 mMリン酸を、1または10 mM NaCl溶液でイオン強度を一定にした後100 ppm のCeNP(平均粒径7.0 nm)と室温、pH 6で24時間反応させた。糖もリン酸も含まない系(コントロール)、糖のみの系(s系)、リン酸のみの系(p系)、リン酸と糖の混合系(p+s系)に対して、UV-visによる濁度の経時変化解析、CeNPに対するリン酸及び糖の吸着量定量、CeNPのζ電位測定を行った。 濁度経時変化からp系及びp+s系でリン酸吸着による静電斥力に起因した凝集抑制が認められた。またstachyose及びα-cyclodextrinの吸着量はリン酸が共存することで50%減少し、リン酸が内圏錯体で吸着サイトを占めることによって分子量の大きい糖の吸着可能サイト数が減少したと考えられる。s系のζ電位はコントロールのζ電位とほぼ同じ値を示した。p+s系のリン酸吸着量は糖が共存することで1.1~1.5倍になるにもかかわらず、ζ電位は-40~41 mVとなり、p系と同じであった。p+s系におけるリン酸吸着量の増加は、糖の吸着でCeNPsのすべり面の面積が1.1倍以上になることでζ電位が減少し、液相のリン酸分子-CeNP間の静電斥力が小さくなったためと考えられる。以上の結果から、EPSによる凝集抑制効果はEPSに含まれるオルトリン酸が吸着することによる静電斥力が重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は順調に進み、結果の考察も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は天然場におけるナノ粒子と微生物の影響に関して、実験と分析をすすめる。
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