2017 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of radiation damage model for high-energy region
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16H04638
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| Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
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Principal Investigator |
岩元 洋介 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (10391327)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 靖敏 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (60423125)
吉田 誠 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (70379303)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | はじき出し断面積 / 高エネルギー陽子 / 照射試験 / 極低温 / PHITS / DPA |
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| Outline of Annual Research Achievements |
20MeV以上の高エネルギー陽子照射に対する粒子輸送計算コードPHITSの原子はじき出し損傷モデルを検証するため、はじき出し断面積と関連する極低温の金属の照射欠陥に伴う電気抵抗増加をμΩオーダーで精密に測定する必要がある。
本年度は２つの試料に同時照射が可能、かつこれまで報告者らが開発した装置に比べて冷却能力が向上した照射装置を製作した。照射試料は熱伝導及び絶縁性に優れた窒化アルミ板の上に、直径0.25mmのアルミニウム又は銅線と抵抗温度計を設置して2枚の窒化アルミ板で挟み込む構造とした。照射試料を冷却用アルミ板に固定し、前回の2倍の冷凍能力を持つGM冷凍機を用いて熱伝導で冷却した。その結果、照射試料を前回は12K程度まで冷却したのに対し、今回は3Kまで冷却できた。
装置を阪大RCNPサイクロトロン施設に設置し、エネルギー200MeV陽子を試料に照射して、極低温下での試料の電気抵抗増加を四端子法により測定した。その結果、ビーム強度3nAにおいて5Kを保ちつつ、２つの試料の欠陥に伴う数μΩ程度の電気抵抗増加を同時に測定できた。3nA以下において、入射陽子数に対する電気抵抗増加の割合は同じであった。はじき出し断面積のアルミニウムと銅の実験値は、試料の損傷エネルギーと分子動力学(MD)モデルにより得られた欠陥生成効率の関係式を含むPHITSの計算値を支持した。また、高エネルギー核反応から生成するγ線や電子線によるはじき出し損傷を計算できるようにPHITSの改良を行った。
今後は、400MeV陽子を用いて極低温下のタングステンの欠陥に伴う電気抵抗増加を測定し、PHITSを検証する。また、冷却用アルミ板に電気ヒーターを設置し、アニールによる電気抵抗変化を測定することで、金属の欠陥回復過程を明らかにする。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極低温陽子照射装置の製作が順調にすすみ、冷却試験の結果、試料を目標の4K程度まで冷却することが出来た。また、当初の計画通り、本装置を阪大RCNPサイクロトロン施設に設置し、200MeV陽子ビームを用いて5K程度の金属試料の欠陥に伴う電気抵抗増加を精度良く測定できた。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、阪大RCNPサイクロトロン施設の同じ実験環境において、400MeV陽子を用いて、加速器施設の遮蔽材として活用されているタングステンのはじき出し断面積を測定する。サンプルへ入射する陽子の数とプロファイルは、ビームラインに設置するガフクロミックフィルムを用いて測定する。照射後、サンプルアセンブリに装着した電気ヒーターを用いて、100K以下においてアニールによる電気抵抗の変化から欠陥回復データを取得する。また、PHITSに2018年にNature Communicationsで公開された最新の金属の欠陥生成効率を組み込み、本研究で得られた実験値を用いて計算精度を検証する。成果をまとめて、Journal of Nuclear Materialsに論文投稿を行う。また、大強度及び高輝度ハドロンビームに関する国際ワークショップ(HB2018)、日本金属学会等において成果を広く周知するとともに、はじき出し損傷モデルを改良したPHITSを講習会等を通して広く普及する。
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