2017 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素再資源化のための金属基板固体酸化物電気分解セルの開発
Project/Area Number |
16H04644
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 之貴 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20233827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 功 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (50235090)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 電気分解 / 固体酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
MS-SOEC単層セルを作成し、電気分解性能を実証すための基礎的検討を進めた。セルは金属基板上にアノード極層、電解質層、カソード極層が積層される構造を持つ。両極に電界を与えることでカソード側に流通されるCO2の電気分解反応が進行し、気相にCOを生成する。酸素イオン(O2-)は電解質層を拡散しアノード極で酸素(O2)に酸化される。 ボタンセルとして直径20 mm程度のMS-SOECを準備検討した。金属材料としては熱膨張係数がセラミックスに近いSUS430を候補とした。SUS430は熱膨張率が一般的な電解質YSZセラミックスと同等であり、融着された複合膜は熱応力に強く、高い靱性を有すると期待できる。ガス拡散向けの細孔を多数開ける。アノード、カソード層は大気プラズマスプレー法(APS)を用いた。APSは粉体のみを高温溶融させ、金属基盤の熱負荷を抑制しつつ大面積に均一に製膜することが可能である。電解質はYSZとした。製膜には金属基盤の熱負荷を抑制しつつ、稠密な膜形成が可能なスパッタ法を用いた。さらにSUS430を金属基板と用いる場合、含有するCrが接触するカソード材料を被毒させるリスクがある。そこで拡散防止層を形成した。また、金属基盤の防食のため、大面積基板への適用が容易な電気めっきによる表面被覆の検討を進めた。開発したMS-SOECボタン型セルは両面を管状のガラスを間にしてセラミックチューブで挟み電気炉内に設置した。電気炉で加熱し、挟んだ管状ガラスを溶解させ、挟み込んだ接合面のシールを行った。CO2電気分解試験を行った。反応温度、CO2分圧を固定した後、ポテンショメーターを用いて電流-電圧を印加し電気分解特性を測定した。得られたMS-SOECにより電解質が酸素イオン導電性を有する600~800℃の温度域に加えさらに900℃までのCO2電気分解が進むことを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MS-SOEC単層セルを作成し、電気分解性能を実証すための基礎的検討を進めた。予定通りボタンセルとして直径20 mm程度のMS-SOECを準備検討した。金属材料としては熱膨張係数がセラミックスに近いSUS430などの400番台系を含むFe-Cr フェライト系合金、Cr 基合金、Ni基合金を候補とした。SUS430は熱膨張率が一般的な電解質YSZセラミックスと同等であり、融着された複合膜は熱応力に強く、高い靱性を有すると期待できる。ガス拡散向けの500μmオーダーの細孔を多数開けた。SOEC本体の3層の形成には電気炉による高温焼結過程が通常であるが、高温過程は金属基板に熱変性を与える。そこで本研究では電気炉加熱を省いた製膜法を採用した。アノード、カソード層は大気プラズマスプレー法(APS)を用いた。APSは粉体のみを高温溶融させ、金属基盤の熱負荷を抑制しつつ大面積に均一に製膜することが可能である。電解質はYSZとした。製膜には金属基盤の熱負荷を抑制しつつ、稠密な膜形成が可能なスパッタ法を用いた。さらにSUS430を金属基板と用いる場合、含有するCrが接触するカソード材料を被毒させるリスクがある。そこで拡散防止層を形成した。得られたMS-SOECにより電解質が酸素イオン導電性を有する600~800℃の温度域でのCO2電気分解が進むことを実証した。さらに900℃の高温での反応実証に成功した。目的であるMS-SOEC単層セルを作成し、電気分解性能を実証すること予定通り実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
大面積化、積層化に向けてより実用的なセルにて実験を行う。アノード、カソード層はAPS法、電解質層はスパッタ法の成膜条件の最適化を進める。APS法は流量、プラズマ温度、金属基盤温度に改良の余地がある、さらに金属基盤表面の事前処理も必要である。これらの最適化を進める。さらに金属支持基盤の改良を行う。種々の基盤を検討する。あわせてセル電気分解実験を進め、反応性向上のための実験条件の最適化、また長時間連続運転試験を進める。膜構成は表面、断面について材料形状を電子顕微鏡観察で、結晶状態をX線回折装置で、また原子分布および金属拡散をEDXで分析し、材料の反応による変化を観察し改良点を確認する。電気分解実験、材料分析を総合してセルの最適化を進める。同時に製膜の困難さと克服方法などのノウハウを蓄積する。次年度はスタック用単層セルを作成し、電気分解実証試験を行う。スタック向けにボタンセルより10~100倍大きな面積を有する板状MS-SOECセルがいるので、このために必要な知見を蓄積し次年度の単層セル実証試験に備える。
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Research Products
(5 results)