2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular signaling pathways regulating the formation of nociceptive neuronal network
Project/Area Number |
16H04660
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 裕之 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (10233933)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 軸索ガイダンス / 成長円錐 / 神経成長因子 / イノシトール3リン酸 / 表皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
痛覚神経軸索が表皮の神経成長因子(nerve growth factor, NGF)に誘引される過程で、軸索先端部(成長円錐)はより高濃度のNGFに応答し続けるため、成長円錐は応答可能なNGF濃度域を調節する機構を備えているはずである。前年度までに本研究代表者らが行った研究結果は、野生型の痛覚神経軸索の成長円錐を誘引可能なNGF濃度域と比べて、イノシトール3リン酸(IP3)受容体タイプ3を欠損した成長円錐を誘引可能な至適NGFは低濃度側にシフトしていることを示した。そこで平成30年度は、IP3受容体タイプ3が軸索のNGF応答感受性を制御するか否かを、動物個体レベルで検証した。 野生型とIP3受容体タイプ3遺伝子ノックアウトマウスを用いて、NGFの供給源である表皮への痛覚神経軸索の誘引を定量的に解析した。表皮は抗NGF抗体を用いて、痛覚神経軸索は抗TrkA抗体を用いた間接免疫蛍光染色により標識し、表皮へ投射するTrkA陽性軸索の直線性を数値化して比較解析した。IP3受容体タイプ3を欠損した痛覚神経軸索は皮膚組織内を直進せず蛇行したが、この投射異常は表皮でのNGF発現量をRNA干渉法により低減させることで改善した。すなわち、NGFに対して過剰応答性を示すIP3受容体タイプ3欠損軸索は、標的組織(表皮)のNGFを実験的に低濃度側へシフトすることで、野生型軸索と同様の投射機能を獲得することができた。 以上の研究により、痛覚神経軸索の皮膚投射をモデルとしてIP3受容体タイプ3の新規機能を明らかにし、神経軸索が細胞外ガイダンス因子の濃度変化に順応するための細胞内分子メカニズムの一端を解明した。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)