2016 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群iPS細胞を用いたアルツハイマー病初期病態の解明
Project/Area Number |
16H04667
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
櫻井 隆 順天堂大学, 医学部, 教授 (70225845)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貫名 信行 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (10134595)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 脳神経疾患 / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイド前駆体蛋白質 (APP)のエンドソームにおける輸送障害がアルツハイマー病(AD)の最初期変化としてβアミロイド(Aβ)とは独立した細胞毒性を発揮することが示されている。我々が見出したAPPのエンドソーム輸送・代謝制御に関わる候補タンパク質の病態への関与を明らかにするため、ADの初期と共通の変化を示すとされるダウン症候群のiPS細胞由来神経細胞等を用いて解析を行う。 神経細胞において、APPは主に軸索輸送され、シナプス前部におけるエンドサイトーシス後にβ切断を受ける。APP代謝・輸送解析のため、海馬スライスを利用した解析系の基礎的検討を先行して行った。培養後の日数に応じて内在性のAPP及びβ切断プロテアーゼであるBACE1の発現量・分布の変化、APPのBACE1切断産物であるsAPPβ及びCTFβ、さらにCTFβがγ切断を受けて生じるAβの産生量の変化を解析した。培養開始当初は一過性の神経細胞死およびシナプスの消失が起こるが、7日目以降APP及びBACE1の発現量・分布、APPの切断産物量は40日以上にわたってほぼ一定であることが明らかとなった。今後、実験系として海馬スライス培養を用いるに当たって重要な基礎データが得られた。また、細胞表面に露出したAPP, BACE1を標識し、その後のエンドサイトーシス、神経細胞内輸送を可視化するためのタグ及びそれを認識する組換え抗体について検討を行った。さらに、APP-候補タンパク質間の相互作用を変化させる変異体の作製等を進めた。 今後、APP-BACE1及びAPP-候補タンパク質間の相互作用を解析するために用いる手法について検討し、iPS細胞由来神経細胞等を使用したエンドソーム障害の機序と候補タンパク質の関与を解析するための実験を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海馬スライスを利用した解析系の基礎的検討を先行して行い、実験系として用いるに当たって重要な基礎データが得られた。 また、APP-候補タンパク質間の相互作用を変化させる変異体の作製、エンドサイトーシス、神経細胞内輸送の可視化法などの準備が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究分担者、連携研究者と協力しつつ、APP-BACE1及びAPP-候補タンパク質間の相互作用を制御し、解析するために用いる手法について準備を進めて行く。 海馬スライス培養系とあわせ、iPS細胞由来神経細胞等を使用したエンドソーム障害の機序と候補タンパク質の関与を解析するための準備を開始する。
|