2017 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of redox signaling by reactive sulfur species in nervous system
Project/Area Number |
16H04674
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
居原 秀 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60254447)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (30284756)
中嶋 秀満 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30405360)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 活性イオウ分子種 / レドックッスシグナル / 細胞内情報伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
システインパースルフイドなどの”活性イオウ分子種”は、活性酸素、レドックスシグナルを制御する分子種として注目されているが、神経系においての知見はほとんどない。本申請研究では、神経系における活性イオウ分子の代謝、レドックスシグナル制御機構を解明し、さらに神経変性疾患モデルを用いて発症メカニズムとの関連を明らかにすることを目的としている。 活性イオウメタボロミクス解析法を改良し、生体内における活性イオウ分子種の代謝経路を解析した。一連の研究で、生体内におけるシステインパーサルファイドの生合成を担う酵素としてシステイニルtRNA合成酵素を同定し、さらに哺乳動物のミトコンドリアで活性イオウ分子種を電子受容体とするイオウ呼吸が存在することを明らかにした(Nat. Commun.,2017) 。 神経変性の細胞モデル実験として、ラット小脳ニューロンを用いてメチル水銀毒性の分子メカニズムを解析した。メチル水銀は、レドックスシグナル二次分子である8-ニトロ-cGMPの産生を促進すること、8-ニトロ-cGMPが低分子GTP結合タンパク質H-Rasを活性化し、H-Ras/MAPK/細胞死シグナルを活性化することを明らかにした。また、メチル水銀は、活性イオウ分子種を枯渇させ、8-ニトロ-cGMPを介した毒性シグナルを増強していること、外因性の活性イオウドナーが毒性を軽減することを明らかにした(Chem. Res. Toxicol.,2017)。 さらに、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドベータペプチドによる細胞毒性モデルにおいて、アミロイドベータ処理により細胞内活性イオウ分子種レベルが減少すること、外因性の活性イオウ分子ドナーがアミロイドベータ毒性を軽減することを明らかにした(第17回日本NO学会学術集会、投稿準備中)。 また、新規の活性イオウ分子種解析用アルキル化剤の合成に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画として平成29年度以降は、①神経細胞特異的遺伝子ノックダウン-レスキュー実験、②アミロイドベータを用いた神経毒性試験、③アルツハイマー病モデルマウスを用いた解析を予定していた。 ①に関しては、試薬購入後、予備的検討を行っていたが、生体内における活性イオウ分子種の代謝経路を解析する過程で、活性イオウ分子代謝に重要な遺伝子を同定し、遺伝子改変マウス(活性イオウ代謝異常マウス)の作製に成功した(Nat. Commun.,2017)ので、この活性イオウ代謝異常マウスを以後の「神経変性と活性イオウ分子の関連」の解析に用いる。 ②に関しては、細胞レベルで、アミロイドベータ処理により細胞内活性イオウ分子種レベルが減少すること、外因性の活性イオウ分子ドナーがアミロイドベータ毒性を軽減することを明らかにしている。 ③に関しては、Oddoら(Neuron, 2003)により作製されたプレセニリン1変異(PSEN1 M146V)、スウェーデン型アミロイドベータ前駆蛋白変異体(APP Swedish)とタウ変異体(Tau P301L)の遺伝子導入による遺伝子改変アルツハイマー病モデルマウス(3xTG-ADマウス)を用いる予定していたが、表現型(グリオーシス、老人斑など)が現れるに時間がかかるため、より早く表現型が現れる5xFADマスス(APP Swedish+Florida+London 変異とプレセニリン1 M146V+L286V 変異)に変更した。
|
Strategy for Future Research Activity |
正常マウス、活性イオウ代謝異常マウスを用いて、アルツハイマー病様症状を誘発させ、神経細胞死、グリオーシスなどの毒性評価と活性イオウ分子解析を行い、個体レベルでのアミロイドベータ毒性と活性イオウ分子種との関連を明らかにする。アルツハイマー病様症状の誘発は、分担研究者の中嶋が開発したグリセルアルデヒド3リン酸(GAPDH)シード-アミロイドベータ凝集体の側脳室投与により行う(J. Biol. Chem. 2015)。すなわち、大腸菌内で発現させたGAPDHを精製し、酸化ストレス下で凝集させシード(種)とする。このGAPDHシードにアミロイドベータを加え、GAPDHシード-アミロイドベータ凝集体を作製し、マウス側脳室に投与する。 遺伝子改変アルツハイマー病モデルマウス(5 x FAD)を用いて、行動評価、脳病理評価(免疫組織染色、老人班の形成、グリオーシスなど)を行い、同時に活性イオウ分子種-メタボロミクス解析を行い、アルツハイマー病の発症・進行と活性イオウ分子種との関連性を明かにする。 また、新規のアルキル化剤の合成に成功したので、酸化型グルタチオンポリスルフィドをモデル化合物として用いて、従来のアルキル化剤との反応性を比較するとともに、活性イオウ分子種の解析に適したアルキル化条件を検討する。
|
-
-
-
[Journal Article] Cysteinyl-tRNA synthetase governs cysteine polysulfidation and mitochondrial bioenergetics2017
Author(s)
Akaike T, Ida T, Wei FY, Nishida M, Kumagai Y, Alam MM, Ihara H, Sawa T, Matsunaga T, Kasamatsu S, Nishimura A, Morita M, Tomizawa K, Nishimura A, Watanabe S, Inaba K, Shima H, Tanuma N, Jung M, Fujii S, Watanabe Y, Ohmuraya M, Nagy P, Feelisch M, Fukuto JM, Motohashi H
-
Journal Title
Nat Commun
Volume: 8
Pages: 1177
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-