2016 Fiscal Year Annual Research Report
ガングリオシド欠損による脳神経系障害の解析と糖脂質補充による治療法の研究
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16H04681
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 雅秀 京都大学, 医学研究科, 教授 (50251450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 亨 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00401935)
成瀬 智恵 京都大学, 医学研究科, 助教 (30372486)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ガングリオシド / ガラクトース転移酵素 / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はガングリオシドの合成起点となるLacCer合成酵素が,マウスの脳ではβ4GalT-5とβ4GalT-6によってコードされていることを明らかにした。ガングリオシドの脳神経系での機能を明らかにするために,脳神経系特異的に遺伝子を破壊したβ4GalT-5とβ4GalT-6のダブル欠損マウス(DKO)の解析を行った。このマウスは出生後に成長遅延を示し,特に後肢の運動失調が見られて離乳前に死亡する。 組織学的解析からDKOマウスの大脳皮質では神経細胞の密度が高く,未熟な神経細胞が多く存在することが分かった。また,脊髄では軸索の変形・変性が顕著で,ミエリン鞘の形成が障害されていた。 さらに,胎生14.5日のDKO胎仔脳から調製した神経幹細胞(Neurosphere)の解析を行った。DKO由来のNeurosphereの増殖速度は正常であったが,神経細胞に分化させた場合の神経突起の伸長や分岐に障害がみられた。ガングリオシドは細胞外基質に対する結合に関与することが示唆されているが,DKOマウス由来のNeurosphereはある種の細胞外基質に対する接着性が有意に低下しており,このことが神経突起の異常を引き起こしていると考えられた。神経細胞マーカーに対する免疫染色や糖鎖に対するレクチン染色を行うことにより,脳内の神経細胞の異常について解析を進めている。 なお,質量顕微鏡(iMScope)を用いて脳切片でのガングリオシドGM1の分布の解析を試みたがうまく検出することができず,iMScopeによる解析は中止することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Neurosphereを用いた解析はほぼ終了した。29年度は大脳皮質や脊髄での免疫染色やレクチン染色を行い,神経細胞やミエリン鞘の異常を明らかにして,論文投稿を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
神経系細胞全般に遺伝子を破壊するNestine-Creマウスを用いた解析の目処がついたので,大脳皮質や海馬,扁桃体などの興奮性神経細胞で遺伝子破壊が可能なEmx1-Creマウスを用いたDKOマウスの解析も進める。このマウスは離乳前に一部が死亡するものの,生き残るDKOマウスを得ることができたので,網羅的行動解析を行って脳神経系の異常について解析を進める。
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Research Products
(1 results)