2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04689
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 靖史 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康弘 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60332277)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Vasohibin-2 / 上皮間葉転換 / TGF-β / TGFβ I型受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Vasohibin-2のがん進展における機能のうち、がん細胞の上皮間葉転換(EMT: epithelial-mesenchymal transition)についての解析を行った。漿液性卵巣癌細胞株であるDISS、SKOV3においてVASH2の発現をノックダウンして、EMTの主要な促進因子であるTGF-βのシグナル伝達について検討した結果、TGFβ I型受容体であるALK5の発現低下が確認された。さらに、その結果として、VASH2のノックダウンはSmad2/3の発現には影響を与えなかったが、それらのTGF-β1によるリン酸化を抑制し, Smad2/3の標的分子の転写活性上昇を抑えることがわかった。そこで、TGF-βが惹起するがん細胞のEMTについて解析した結果, VASH2のノックダウンにより, TGF-β1によって引き起こされる上皮マーカーE-cadherinの減少や, 間葉マーカーN-cadherinやvimentinの発現上昇反応が減弱していた。さらに、VASH2が、がん細胞の運動性や浸潤性に関与しているか検証した結果、がん細胞の運動能, 浸潤能はVASH2のノックダウンによって抑えられ、 MMP2の発現も顕著に抑制されていた。以上、VASH2はがん細胞のALK5の発現に必要であり、VASH2のノックダウンはTGF-βシグナルを減弱させることによりがん細胞の浸潤能・転移能を低下させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VASH2は、がん細胞で産生されパラクリン的に周囲の血管に作用して血管新生を促進することが分かっていたが、今回の解析から、がん細胞自身に対してオートクリン的に作用し、がん細胞の上皮間葉転換に寄与していること、さらにその機序として、上皮間葉転換の主要な促進因子であるTGF-βの1型受容体ALK5の発現を介して、上皮間葉転換に必要なTGF-βの細胞内シグナル伝達に関わっていることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
VASH2のがん進展におけるパラクリン作用として、がん随伴線維芽細胞に対する作用について解析を行う。具体的には正常線維芽細胞を組替えVASH2タンパクで刺激し、がん随伴線維芽細胞に特徴的は遺伝子の発現パターンが誘導できることを確認し、次に正常線維芽細胞を組替えVASH2タンパクで刺激したときの細胞内シグナル伝達系の変化を網羅的に解析してVASH2のシグナル伝達機構を明らかにするとともに、VASH2受容体の探索を行う。また、がん随伴線維芽細胞に対する骨髄細胞の役割を解明する為に、骨髄移植モデルマウスを用い、VASH2高発現がん細胞およびVASH2ノックダウンがん細胞を移植した際の骨髄細胞の浸潤の程度とがん随伴線維芽細胞への骨髄細胞の関与を比較する。
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Research Products
(2 results)