2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04689
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 靖史 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康弘 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60332277)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Vash2 / 膵がん / KPCマウス / 浸潤 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
VASH2の膵がんにおける機能を明らかにするために、ヒト膵がんの90%を占める浸潤性膵管癌(PDAC)に近似し、肝臓と肺に転移を来すマウスモデルとして世界的に定評のあるPDX-1-Cre; LSL-KrasG12D; LSL-Trp53R172Hトランスジェニックマウス(以下KPCマウス)を用いて解析している。KPCマウス由来膵がん細胞についてVash2発現をshRNAでノックダウンしたところ、細胞増殖には変化は生じなかったが、遊走能、浸潤能は顕著に減弱し、マウスに移植した場合の腫瘍発育はVash2 KDマウス膵がん細胞で軽度抑制されたのに対して、尾静脈から注入した場合の肺転移はVash2 KDマウス膵がん細胞で顕著に抑制されることが明らかとなった。次に、個体レベルでの検証のためにKPCマウスとVash2LacZ/LacZマウスを交配したところ、KPCマウス/Vash2+/+マウスと比較して、KPCマウス/Vash2LacZ/+マウス、KPCマウス/Vash2LacZ/LacZマウスではPDACの発生頻度に差は認められなかったが、PDACの周囲組織への浸潤や他臓器への転移はVash2遺伝子量の低下に応じて減少し、驚くべきことにKPCマウス/Vash2LacZ/LacZマウスでは浸潤・転移は全く認められなかいことが明らかとなった。以上の結果は、例えがんのドライバー遺伝子であるKRASの変異によって未分化な高浸潤性・高転移性の膵癌を発症したとしても、VASH2を阻害とすることでその浸潤性・転移性は制御できること、すなわち治療標的が確立していない膵癌において、VASH2が新たな分子標的となる可能性を強く示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウス膵がんモデルを用いて、 VASH2が膵がんの浸潤・転移に必須の役割を果たしていることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
VASH2が膵がんの浸潤・転移を、どのようなメカニズムで調節しているのかを解明する。具体的には、チューブリン脱チロシン化が、がん細胞の浸潤・転移に関わるmirotentacle形成に必要であることが知られているが、最近、VASH2がこれまで未同定であったチロシン・カルボキシペプチダーゼそのものであることが同定されたこと、VASH2とがん細胞のmirotentacle形成とのリンクを明らかにする。
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