2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of transformation mechanism from benign tumor to cancer
Project/Area Number |
16H04700
|
Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
高橋 暁子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞老化プロジェクト, プロジェクトリーダー (60380052)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 細胞老化 / がん抑制機構 / SASP / 細胞質DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは細胞老化を起こすようなDNA損傷シグナルがクロマチンにエピジェネティックな変化をもたらすことを見出してきた。そこで細胞老化でおこる核構造の変化に着目して詳細な解析を行った結果、老化細胞では核膜の裏打ち蛋白であるLamin B1の発現レベルが低下するだけではなくMicronucleus(微小核)やBud(出芽核)といった異常な核形態が観察される頻度が顕著に増加し、それによってゲノムDNAが細胞質に多く存在することを見出した。さらに細胞質に存在するゲノムDNAは、細胞質DNAセンサー(cGAS-STING)によって認識され自然免疫応答を引き起こし、cGASやSTINGのノックダウンではSASP遺伝子の発現が抑えられることから、これらの経路の活性化が老化細胞におけるSASPの誘導に重要な働きをすることが明らかとなった。そこでSASPによって肝がんが発症することが確立しているモデルである高脂肪食負荷実験を野生型マウスとSTINGノックアウトマウスに対して行った結果、STINGノックアウトマウスの肝臓ではSASP遺伝子の発現誘導とがんの発症率が顕著に低下していることを見出し報告した(Takahashi et al., Nature Communications, 2018)。さらに、細胞老化でおこる染色体の構造変化を解析したところ、老化細胞特異的なnon-coding RNAが染色体構造を維持する重要な因子の機能を阻害することを見出した。そのため、老化細胞特異的なnon-coding RNAは細胞の染色体数を変化させ腫瘍細胞へと形質転換させることを見出した。また多くのがん細胞ではこのnon-coding RNAの発現が顕著に認められることから、良性腫瘍から悪性腫瘍へと老化細胞が形質転換するメカニズムの一つとしてダイナミックな染色体構造の変化が関与している可能性が示された。
|
Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|