2017 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンウナギの資源変動に関わる仔稚魚の来遊機構と成魚の成育環境
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16H04734
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 伸吾 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90202043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 陽一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (30624902)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニホンウナギ / 安定同位体比分析 / 数値シミュレーション / 輸送分散過程 / エルニーニョ / 温暖化 / 種間関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
【数値シミュレーションの実施とモデルの改良】これまでに開発した輸送分散モデルをより複雑な行動生態に対応するように改良し、数値シミュレーションの試行を数多く実施し、北赤道海流での幼生の輸送分散過程の経年的な変動、遊泳能力の獲得を考慮した稚魚の黒潮からの離脱機構に関する研究を進めた。対象とする海洋環境変動としてはエルニーニョだけでなく、温暖化も対象とし、ENSOイベントと地球温暖化がニホンウナギ仔稚魚の輸送期間、加入動態および経路に及ぼす影響を耳石輪紋と体長解析および数値実験により検討した。その結果、エルニーニョによる塩分フロントや流速の変動により、仔稚魚期間と体長は長くなり、加入成功率がより低くなる可能性が示された。また、地球温暖化シナリオに基づき、本種資源加入動態を推定した結果、塩分フロントの位置や仔魚の経験流速の変動が、輸送期間、加入成功率、分布に影響を与える可能性があることが分かった。 【産卵海域における種間関係の解析】平成25年と28年に北赤道海流域の産卵海域下流域で採取された仔魚サンプルの解析を行い、ニホンウナギの幼生を取り巻く種間関係、とくに北赤道海流域におけるウナギ目レプトセファルスの分布と食性に与える海洋環境の影響に焦点を当て野外調査結果と安定同位体比分析から明らかにした。その結果、レプトセファルスはPOMを摂餌していることが確認され、他の仔魚と明らかに異なる餌を利用していること、中規模渦がレプトセファルスの輸送・摂餌環境に影響する可能性があることなどが分かった。また、その分布水深は、成育場を沿岸と外洋にもつ種の間で異なり、鉛直分布が水平輸送に重要な役割を担っていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であるニホンウナギの産卵海域となる北赤道海流域を中心に仔稚魚の分布生態や種間関係を明らかにする一方、エルニーニョに伴う仔稚魚の輸送分散過程をモデル化し数値シミュレーションを多数施行できた。前年度までの研究成果も含め、一流の国際学術誌に2編掲載できたことから、概ね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、当初の研究計画からとくに大きな変更をする必要はないと考えている。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] Inhabitation of the European eel in the Japanese rivers2017
Author(s)
Kimura,S., Arai, K., Itakura, H., Yoneta, A., Yoshinaga, T., Kaifu, K.
Organizer
The 1st UK International Eel Science Symposium
Int'l Joint Research
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