2016 Fiscal Year Annual Research Report
Functional role of the ribosomal stalk protein in translation recycling
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16H04741
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内海 利男 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50143764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 孝祐 新潟大学, 自然科学系, 助教 (20502397)
西川 周一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10252222)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分子生物学 / 翻訳 / 蛋白質合成 / リボソーム / 翻訳リサイクル / ABCE1 / Rli1 / ストーク蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝情報の翻訳では、開始、伸長、終結の各ステップに加え、リボソームのリサイクル過程が重要である。このリサイクル反応に関与する因子として、最近、ABCE1(酵母ではRli1)が同定されてきたが、その詳細な作用機構に関する知見は少ない。本研究では、リサイクル反応におけるABCE1と一部のリボソーム蛋白質“stalk”との協調作用機構に注目する。平成28年度は、主に古細菌Pyrococcus furiosusのサンプルを用いて、生化学的結合・機能解析とstalk・ABCE1複合体の結晶構造解析を行った。 大腸菌を用いた発現系により、古細菌ABCE1の各種部分削除体を調製し、stalkとの結合性を、pull-down法と蛍光偏光度測定法により解析した。その結果、ABCE1の2つの主要ドメインであるNBD1とNBD2の両方とstalkとの結合性が検出されたが、結合親和性には両者に大きな差があり、NBD1ドメインとの強い結合性が見られた。 ABCE1とstalk蛋白質C末端部位合成ペプチドを混合し得られる複合体を結晶化することに成功した。構造解析の結果、stalk C末端の先端部分がABCE1のNBD1ドメインの疎水性領域と結合している様子が可視化され、その結合に寄与するABCE1の6個のアミノ酸側鎖が明らかにされた。 StalkのC末端の機能面での役割を明確にするため、リボソーム/ABCE1依存のATPase活性をC末端削除体と野生型で比較した。その結果、ATPase活性にはstalkのC末端が必要で、stalkC末端とABCE1の相互作用とATPase活性の関係が明らかにされた。 古細菌を用いて得られた上述の結果を真核細胞の系でも検証するため、目下、酵母によるRli1の大量調製系、および酵母細胞によるin vivo機能解析系の構築を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要目的の一つは結晶構造解析によりstalk蛋白質とABCE1の複合体構造を解析し、結合機構を解明することである。当初、stalk・ABCE1複合体の結晶化条件を確定するためには長期間の研究が必要と思われた。しかし、研究一年目でこの複合体の結晶化に成功し、stalkのC末端部位とABCE1間の結合の様子が分子・原子レベルで示された。さらに、得られた構造データは、生化学的手法による結合実験の結果とも一致し、信頼できる知見と言える。さらに、リボソームとABCE1に依存したATPase活性解析からも、stalkのC末端部位とリボソーム機能誘発の関係が示され、古細菌のサンプルを用いたここまでの解析から得られた知見には矛盾は無く、stalkのC末端とABCE1間の相互作用がリボソーム機能面と密接に関連していることが示された。 一年目の研究で、ここまでの成果は期待以上のものであった。得られた知見によりstalkのC末端部位との結合に寄与するABCE1の6種のアミノ酸残基が同定され、今後の研究の方針が立てやすくなった。すなわち平成29年度より、6個のアミノ酸の点変異の実験が焦点となり、さらに酵母のABCE1相同体であるRli1の相同部位のアミノ酸置換による効果をin vivoで解析することで、真核細胞の翻訳リサイクリングにおけるstalkとABCE1(Rli1)の相互作用の意義が明確にされると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の古細菌のサンプルを用いた結晶構造解析から得られたstalk・ABCE1間相互作用に関する知見を検証する為、次の実験を行う。すなわち、結晶構造解析から同定されたstalk・ABCE1間結合に関わる古細菌ABCE1の6個のアミノ酸を他のアミノ酸に置換し、stalkとの結合性を生化学的手法で解析し、分子間相互作用への6個のアミノ酸の寄与を明らかにする。 古細菌で得られる知見を真核生物の系でも検証する。その為、酵母(Saccharomyces cerevisiae)のABCE1(Rli1)の酵母細胞を用いた大量発現系の構築を行う。得られる系を用いて野生型Rli1および各種変異体を発現・精製し、stalkとの結合実験により変異の効果をin vitroで解析する。その他、酵母80Sリボソームを調製し、Rli1添加によるリボソーム依存のATPase活性、およびショ糖密度勾配遠心法によるサブユニットへの解離を解析し、各活性への変異による効果を解析する。 さらに酵母Rli1とstalk間相互作用の重要性を酵母細胞を用いたin vivoの解析から立証する。その為、 酵母ゲノム中のRli1の発現を抑制し、プラスミドにより野生型と各種変異型Rli1を添加する系を作製する。この系を用い、stalkとRli1間相互作用を崩壊させた場合の酵母細胞の成育、および各種表現型を解析し、stalk・Rli1間相互作用の重要性を証明する。 以上の解析から、stalkのC末端部位とABCE1(Rli1)の相互作用機構とその生物学的意義に関して総括する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Binding of translation elongation factors to individual copies of the archaeal ribosomal stalk protein aP1 assembled onto aP02017
Author(s)
Honda, T., Imai, H., Suzuki, T., Miyoshi, T., Ito, K., Uchiumi, T.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Commun.
Volume: 483
Pages: 153-158
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Structural basis of the substrate recognition and the catalysis of Peptidyl-tRNA hydrolase 22016
Author(s)
Ito, K., Nakasuji, W., Morita, Y., Uehara, K., Nakazawa, T., Murakami, R., Miyoshi, T., Oka, N., Uchiumi, T.
Organizer
RNA-2016
Place of Presentation
京都国際会議場(京都府京都市)
Year and Date
2016-06-28 – 2016-07-02
Int'l Joint Research
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