2019 Fiscal Year Annual Research Report
GPIアンカー側鎖とフリーGPIの生理的・病理的意義の解明
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16H04753
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 タロウ 大阪大学, 微生物病研究所, 寄附研究部門教授 (10153165)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)が多くのタンパク質の膜アンカーとして機能している。またフリーGPIとして膜に存在する分子も一部存在する。GPIアンカー側鎖とフリーGPIに関して、今年度は以下の成果を得た。 (1)GPI側鎖の生合成機構の解明 GPI側鎖のシアル酸に関しては、その結合形式もシアル酸転移酵素も不明であった。本年度、北大小林篤史博士、島津製作所西風隆司博士らとの共同研究を行い、プリオンタンパク質を用いて解析した結果、シアル酸がすべてα2-3結合していることを見出した。 (2)GPI側鎖を指標としたフリーGPIの動態と病理的意義の解明 GPIトランスアミダーゼ欠損細胞ではN-アセチルガラクトサミン側鎖を持つフリーGPIが細胞表面に発現することを前年度に明らかにし、そのレベルをGPI生合成量の指標にすることにより、GPI生合成を制御するメカニズムにアプローチし得ること見出した。本年度実施した結果、小胞体関連分解系がGPI生合成の抑制に関わっていること、小胞体関連分解系を破壊するとGPI生合成が大きく上昇することを見出した。この結果は、GPI生合成を正に制御するメカニズムの存在を示している。PIGT遺伝子変異による発作性夜間ヘモグロビン尿症(PIGT-PNH)の異常細胞では、N-アセチルガラクトサミン側鎖を持つフリーGPIが細胞表面に発現していること、異常細胞ではインフラマソームが容易に活性化されること、血中IL18が高値であることを見出した。培養細胞モデルを作製し検討した結果、PIGT-KO細胞では、補体レクチン経路の活性化が進行しC4とC3の断片や膜侵襲複合体が高レベル結合し、それに応じてIL1βが放出されることを見出した。これらは、フリーGPIの蓄積を起こすPIGT-PNHにおいて、自己炎症が補体とインフラマソームの過剰な活性化によっていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた各項目が進展したことに加え、GPI生合成を正に制御するメカニズムの存在を示し得た。
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Strategy for Future Research Activity |
各項目を進展させるとともに、GPI生合成を正に制御するメカニズムの実態を解明する。
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Research Products
(10 results)