2018 Fiscal Year Annual Research Report
CRISPR-Casエフェクター複合体の構造機能解析
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16H04759
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
沼田 倫征 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10401564)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CRISPR-Cas / crRNA / Casタンパク質 / エフェクター複合体 / Cmr複合体 / Csm複合体 / 原核生物獲得免疫 / 遺伝子サイレンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPR遺伝子座から転写されたRNAはCas6により切断され、5’タグをもった前駆体crRNAとなる。その後、前駆体crRNAの3’側がプロセシングされcrRNAとなりCmr複合体に取り込まれる。しかしながら、前駆体crRNAの3’側のプロセシングに関わるタンパク質因子は同定されていない。本研究では、前駆体crRNAの3’側のプロセシングに関わるタンパク質因子の同定を試みた。Cmr複合体のクライオ電子顕微鏡構造解析およびCmrΔ1複合体(Cmr1を含まないCmr複合体)の結晶構造解析の結果、crRNAの3’側はCmr1と結合することが推定された。Cmr1の立体構造は既に明らかとなっており、Cmr4などに代表されるRNA recognition motifフォールドを有している。Cmr4がヌクレアーゼ活性を持っていることから、Cmr1にもヌクレアーゼ活性があるのではないかと推定した。そこで、Cmr1が前駆体crRNAの3’側のプロセシングに関わるのではないかと仮説を立て、その寄与を検討した。まず、CmrΔ1複合体を再構成し、Cmr1の有無による前駆体crRNAのプロセシングの様子を観察した。変性PAGEによる解析の結果、Cmr1を添加した条件で、前駆体crRNAが切断されることが明らかとなり、Cmr1が前駆体crRNAのプロセシングに関わることが示唆された。次に、CmrΔ1複合体とCmr1の結晶構造をクライオ電子顕微鏡マップに重ね合わせ、crRNAの3’末端と相互作用するCmr1の領域を推定した。その結果、幾つかの親水性アミノ酸残基を特定した。これらのアミノ酸残基をアラニンに置換した変異体Cmr1を調製し、前駆体crRNAのプロセシング活性を測定した結果、いずれの変異体もプロセシング活性を保持しており、現段階ではプロセシング反応に関わるアミノ酸残基の特定には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
III型エフェクター複合体を構成するタンパク質の構造を解析し、また、crRNAのプロセシングに関わるタンパク質を同定したため。
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Strategy for Future Research Activity |
III型エフェクター複合体がcrRNAをプロセシングするしくみと標的RNAの切断における反応機構の解明を目指す。
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